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特別企画

「神クズ☆アイドル ~ZINGSベル! ファンミーティング冬の陣~」イベントレポート

一ノ瀬謹和

『神クズ』キャラクター誕生秘話

やる気なしの顔だけアイドル・仁淀ユウヤ、元天才アイドル幽霊・最上アサヒ、アイドルオタアイドル・瀬戸内ヒカル、更には濃すぎるZINGSファンの面々……『神クズ』最大の魅力である、個性豊かなキャラクターたちはどういう考えから生み出されたのか、肘樹先生に質問をぶつけてみた。

「アイドルもの」をやろうと決めたときに、顔はいいけどやる気はない仁淀くんと、やる気はあるけど命はないアサヒちゃんというダブル主人公にしようと思われたのはどういう理由でしょうか。

ふたりの出逢いから、すべては始まった

肘樹
何か一点だけ特化してる人間が好きなんでしょうね。顔が良いだけでアイドルやっていける人間と、アイドルの執念だけが残った幽霊という一点集中型の二人が組むのは面白いなと思いました。

仁淀くんは難しいキャラクターだと思うんです。顔は良いけどクズな男の子ってもしかしたら嫌われてしまうかも、という不安は?

肘樹
ないですね。仁淀くんは怠惰ではあるけれど、人に突っかかっていくわけではないんです。人混みがあっても人にぶつかるわけじゃなくて、上手くすり抜けていくキャラなので、嫌われるとは思ってなかったですね。

悪いやつではない。しかし驚くほど何もしてくれない。けれど顔がいい

たしかにクズだけれど、イヤなやつではないんですよね、仁淀くん。

肘樹
描いてるときもマイルドにしようと思って。あんまり厳しいことも言わないですよね。攻撃はしない。何もしたくないことで迷惑を掛けることはあるけれど、積極的に迷惑を掛けるわけではないので。仁淀くんの原型になったクズ男のキャラクターがいて、すごく顔は良いけど性格は最悪で、ヒモ先の女の子を三人くらい抱えてる設定だったんです。そのキャラクターの元の名前が吉野くんなんですけど(会場爆笑)

現吉野くんはめちゃくちゃ可愛くなりましたね。

肘樹
よかったですよね。転生できて(笑)。吉野くんがこんなにも愛される男になって良かったです。描いた時点ではそんなみなさんに愛してもらえるとは思ってなくて、読者の反応見て、「そんな吉野くんのこと思ってるんだ。作者が負けた!」って(笑)。もっと吉野くんのポテンシャルを信じてあげるべきだったって反省してます。

肘樹先生「最近、吉野くんがヒロインなんだと気づきました。幸せにしたい」

もうひとりの主人公、アサヒちゃんについてなんですが、冷静に考えるとすごく幽霊っぽいんですよね。アイドルをやりたい怨念だけで、この世にとどまっていたり。

肘樹
そうですね。元気いっぱいなだけだと死んでる意味がないので、なんの為に未練がましく現世にいるのかってことは大事にしてますね。怖くなる時……目がグルグルしたりするときはノリノリで描いてます。

ときたま暴走しがちなアサヒちゃん

肘樹
クズだった旧吉野くんに搾取されてる優しい女の子が最上ちゃん……アサヒちゃんの原型になった女の子だったんです。なので仁淀くん、アサヒちゃんともに色々なキャラクターが発展、合体した感じですね。

「アイドルもの」というネタをふって、こうしたキャラクター、ストーリーが肘樹先生からかえってきたときの感触は。

本間
アイデアはめちゃくちゃ洗練されていて……。先程も話したように、驚くくらいに順調でした。ただ、先生もどこか(2巻電子特装版収録の設定資料集)に書いていたと思うんですが、最初は女性同士の話だったんですね。女性アイドルに女性アイドルの幽霊が取り憑く話。

そのまま女性同士のバディものとしても、いけたのでは? という気もしますが、なぜ男女に。

肘樹
『君の名は。』(笑)

本間
もっと『君の名は。』みたいにしようって(笑)。そういう時だったんですよね、時期的に。で、じゃあ男女で体を借りる? みたいな。

こちらは「入れ替わってる」わけではない

肘樹
男女でやろう……でも絶対ラブコメしたくないですね! って話をしてたんですよね。

でも男女入れ替わりだと、必然的にラブコメになっちゃいそうじゃないですか。

肘樹
そもそも私がラブコメを描けないんですよ。描いても恥ずかしくなってしまうし、面白く転がしていく自信もない。なら今の時代、恋愛要素を避けて通るほうが面白いだろうと思って。今でもラブコメになりそうになると本間さんが「ちょっとラブコメですね」って指摘してくれる(笑)。

本間
私としては『神クズ☆アイドル』は、アイドルの天才だった幽霊とアイドルの原石である男の子の組み合わせによるスポ根みたいなストーリーだと思っているんです。そこに恋愛まで乗せてしまうと、何の話かわからなくなるというのもありますね。

『神クズ☆アイドル』はスポ根。

肘樹
スポ根ギャグ(笑)。

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©いそふらぼん肘樹/一迅社2019
写真撮影:BOOKMARK浅草橋