新連載レビュー
『水族カンパニー!』(イシイ渡) 偏愛獣医×ドジっ子飼育員の水族館コメディ
根本和佳
“海の獣”をつけ狙う、メガネのケモノ出現!
新人2人組の漫画家ユニット・イシイ渡による『水族カンパニー!』が、「月刊!スピリッツ」2017年2号(2016年12月27日発売)にて連載を開始した。
新米トレーナー meets 変態獣医、共通点はあるのか?
水族館の花形・トレーナー。生き物の魅力を伝えるため、トレーニングや飼育、ショーを担当するのが主な役割だ。
新人トレーナーの七瀬真知子(ななせ・まちこ)は、今日もイルカの尿を浴びながら、生き物達との信頼関係を築こうと必死に過ごしていた。
そんなある日、七瀬が世話するイルカを凝視しつつハアハア言ってる男が現れた…!
このカリアゲメガネ、海崎(かいざき)という。変態的な目つきと態度でイルカのローラに執着し、トレーナーの七瀬を出し抜きローラに迫る危険人物……かと思いきや、腕前の確かな獣医だった。ただひとつ、愛が危ないことを除いては。
偏愛毒舌マンの海崎に劣らぬ、著者の海獣愛
この『水族カンパニー!』は、同誌2016年2号に掲載された読み切り『海獣さんがっ!!!』の好評を受けて連載化されたもの。イルカが大好きすぎる海崎のド変態ぶりに戦慄を覚えた方も多いだろう。イルカが描き文字で少しだけしゃべるのもかわいらしい。
第1話を読んだだけでも、イルカのつるっとした質感や動きの表現に、著者の深い愛が感じられる。
イルカを触りたいどころか舐めたいと言う海崎のように、著者は「動物のアクションの、どこに人間はかわいさを感じているのか」を読み解き、追求しているのがわかる。
ペンギンやラッコなど、他の生き物の登場も楽しみだ。1月27日発売の「月刊!スピリッツ」2017年3号に掲載される第2話に期待したい。
ちなみにイルカの肌の感触は「濡れたナス」や「ゴム長靴」にたとえられる。
だがイルカに触るためにはきちんと手を消毒し、そして水族館で抽選に当たらねばならない。ルールを守らないと瞬時に海崎が飛んでくるだろう。あ〜イルカ触りたい。水族館行きたい。海崎も遠くから見てみたい。
©イシイ渡/小学館