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弾かれ者たちをきちんと見抜く田俣さん

この作品のテーマのひとつが「弾かれ者」のありかた。
たとえば、頑張っても何も出来ない青年・足立。料理も接客も、皿洗いすらもできない。しかもすぐこける。
彼の失敗は全て田俣さんがフォローする。実質、足立は足を引っ張っているだけの状態だ。それでも田俣さんは彼を採用した。

足立をけなす人間に、彼女ははっきりと言う。

「失敗をしても『次の可能性』を信じ続ける
愚直にも『次こそは』と前を見る
それは誰にでもできることではない
『無能だ』などと軽々しく言わないでいただきたい」

田俣さんは、自分が認めた人をけなす相手を、絶対に許さない

他にも筋骨隆々な姿から蔑まれる女性、面白いことに目がないライターなど、社会からあぶれがちなキャラが登場する。
マイノリティは、マジョリティに踏みにじられ、ときに悪者扱いされる弱者。必死になればなるほど、疎まれ、傷つく。

田俣さんは、彼らを哀れんでいるわけではないことがポイント。
この作品は田俣さんが「救う」話ではない。田俣さんが戦いながら、弾かれ者たちの持つ魅力や能力を「見つける」物語だ。

「自分には何か欠けている」とコンプレックスを感じる弾かれ者たち。
でもそれぞれ気づかないだけで、独自の能力を持っている。田俣さんは鋭く見抜いて、指摘していく。

悪辣なマジョリティの力に屈しない田俣さん

田俣さん自身は何から何までこなせる、超優秀人材。嫉妬はされるものの、決して弾かれ者ではない。
しかし弾かれ者たちを恨むものが、田俣さんのことを排斥しようとする。

どんなにまっすぐ戦っても、この世にはすぐには届かない卑劣な相手も存在する

実力行使で攻撃してくる相手は追い返せる。とはいえ権力を行使して潰してくる相手には為す術がない。
それでも彼女は泣かない。取り乱さない。絶対にくじけない。限界がきても、人に見せないのが、田俣さんのポリシー。
どんな時も彼女は、接客魂を忘れない

人間だから当然疲労もするけれど、人前ではその姿を絶対見せないのが、田俣さんの矜持だ

彼女のキャラが少しでも心の琴線に触れたら、あっという間に読めてしまう、疾走感あふれる作品。
不器用で迫害される「弾かれ者」たちの、ジャンヌ・ダルク的な旗印として、彼女がゴリゴリ前に突き進むのを期待したい。



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©茅ヶ崎麻/集英社