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『先生×生徒アンソロジー』収録『ジンジャーブレッドとコーヒー』依茂歩 「先生と生徒」じゃない「あなたと私」の物語

籠生堅太

「先生と生徒」は甘酸っぱいという幻想

立場の変化に伴う関係の変化に実春が戸惑う一方、雄一は自分の心が「教師」に近づいていくのにつれて、実春のことも「生徒」という肩書で見てしまうようになる。
ふたりで過ごす時間でも、つい実春のことを生徒扱いしてしまうのだ。

「先生」の自分が、普段の自分を侵食していてくるような感覚

生徒扱いされて怒る実春も、「歳上で大人な」雄一と釣り合うために、背伸びをして苦手なジンジャーブレッドとコーヒーを頼んだりもする。

お互いどこかで相手を見つめず、肩書のもつイメージだけを見つめていた部分がある。
それは私たちが「先生と生徒の恋」と聞かされたときに、つい「内緒の恋」や「禁断の恋」という甘酸っぱい物語を期待してしまうのに似ているかもしれない。

だからこそ『ジンジャーブレッドとコーヒー』のラスト、ふたりが「先生と生徒」という関係ではなく、お互いを見つめ合っていこうと手を取り合うこと、そんな物語が『先生×生徒アンソロジー』に収録されていることには意味がある。

「先生」と「生徒」ではなく、お互いをもう一度見つめなそうという言葉は、読者にも響くものがある

『先生×生徒アンソロジー』の存在を初めて耳にしたとき、そこに多様性があるのか疑問だった。
子ども扱いされて怒るヒロイン、年の差のせいか噛み合わない会話、まわりに付き合っていることがバレそうになってドキドキする展開など私の貧弱な想像力では、そんな似た話が9つ集まっただけの本しか思い描けなかったのだ。

けれど収録された9つのエピソードは、予想を裏切りバリエーション豊かだ。
それは個々のキャラクターが生み出した魅力にほかならない。

雄一と実春が「先生と生徒」という関係から解き放たれたように、『先生×生徒アンソロジー』収録の作品たちは、私たちを凝り固まった「先生×生徒モノ」というイメージから開放してくれる。

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©ふじた渚佐/イースト・プレス
©依茂歩/イースト・プレス