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『ゲームやるから100円貸して!』ナカノ・ザワ ゲームに夢中な君が好き

たまごまご

いつもの上司の知らない表情。好きなものがあるっていいよね!

普段はお堅い美人上司。だけど好きなことの前では目をキラキラさせてはしゃいじゃう。
大人の女性が見せる、子どものような無邪気な一面、愛しすぎる。

普段は怒ってばかりで、けして笑顔を見せない弓原課長補佐。ところが大好きなゲームのこととなれば、こんなポーズまでとってしまうのだ

堅物美人上司の、意外すぎる一面

「ヤングエースUP」で連載中の作画・ナカノ氏、原作・ザワ氏からなる漫画家ユニット、ナカノ・ザワによるによるラブコメディ『ゲームやるから100円貸して!』の第1巻が、明日12月3日に発売される。

弓原補佐。会社では、一片のスキもない仕事の鬼。仕事にルーズな人にはめっぽう厳しい。
部下みんなが恐れる存在だ。

なかでも杉田にはあたりが厳しい。
見た目はチャラいが仕事はバリバリこなし、周囲の評価は高い。
だが弓原からは目の敵のように、日々怒鳴られている。

仕事のミスを怒られる日々。いやそんなにミスはないのだけれども……。甘いマスクでモテモテな彼も、ちょっと凹む

気落ちした彼が訪れたのは、年季の入った喫茶店「デッドコピー」。
店内に並んでいたのは、昔ながらの、ゲームのできるテーブル。
横には、表情豊かに、ものすごい勢いでプレイする人が。
よく見るとそれは、普段とは別物のようにリラックスしている弓原さんだった。

夢中な人は美しい

何かに夢中な人の魅力が描かれた作品。
弓原はゲームについて話す時、目を大きく開く。顔を紅潮させる。次々と言葉を並べていく。
絶対に職場では見せない姿だ。

レトロゲームの話になると、マシンガントーク開始。こんな補佐見たことないよ!

序盤は普段とのギャップに、杉田が笑ってしまう展開が続く。
それが心底嫌だった弓原だが、一緒にいる回数が増えるにつれて、杉田への「ゲーム演説」もヒートアップしていく。

ところが他の人の前では、レトロゲー好きはひた隠し中。
杉田はそんな彼女を見てこう言う。

「僕はゲームに夢中になってる弓原補佐を見て すごく素敵だって思いましたよ」
「夢中になれる趣味があって それに一生懸命な人……素敵に決まってるあないですか」
「弓原補佐が気持ち悪いなんて 絶対思いませんよ」

コミュニケーションと表情

弓原がゲーム好きを隠すのには理由がある。

「元々皆さんのイメージ悪いのに その上ゲームが好きなんて知られたら 本当に気持ち悪い上司になってしまいます」

コミュニケーションを取るのが苦手な人が、周囲に対して何を感じているのか、掘り下げている。
弓原は人前で感情を表現するのが、極度に苦手。

しかし会社ではデキル上司なわけだし、ゲーム中は杉田とワイワイやっている。
会話自体は、嫌いではない。

人に嫌われることが怖いのだ。
職場では、自分は「上司」というポジションで最初から「嫌われる」ことを前提に位置取りをしている。これは本人にも相当なストレスなはずだ。
だからなおのこと、自分の本心を気持ち悪がられることを、恐怖する。

会社では散々杉田に怒鳴り散らしている……ように見える弓原。

「別に? 怒ってませんよ」
「別に怒ってもないし 態度も変えてません! そう感じるとしたら杉田くんの考え過ぎです!」

杉田は彼女のこの発言が理解しきれない。ツンデレとはどうも違う。
ここが、彼女が苦手とする「感情表現」と「意思の伝達」だ。

タイトルの「ゲームやるから100円貸して!」というセリフが本当にいい。
ゲームで100円借りるというのは、濃いコミュニケーションだ。というのも「次に返す=次に接触を取る」という宣言だからだ。
実は自然に第1話でこれができている弓原。人との接し方をどんどん覚えていく素質がある。

ゲームプレイ中に心をさらけ出せる彼女、きっといつかみんなの前でも

「100円貸してください」
今は「ですます」口調でしか話せない弓原。
彼女が「貸して」と気さくに言えるようになる日は、多分近い。



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©ナカノ・ザワ/KADOKAWA