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『先生×生徒アンソロジー』収録『ジンジャーブレッドとコーヒー』依茂歩 「先生と生徒」じゃない「あなたと私」の物語

籠生堅太

「先生と生徒」という言葉からの解放

明日9月7日にイースト・プレスから発売される『先生×生徒アンソロジー』
『このマンガがすごい!2016』(宝島社)オンナ編第4位にも選ばれたなかとかくみこ氏による、ぼんやり男性教諭とアグレッシブな女子生徒の秘密の恋を描いた『塩田先生と雨井ちゃん』特別編をはじめ、全9編の個性豊かな「先生と生徒の恋」が収録される。

以前「yomina-hare」でも紹介した『マイナス温度のセレナーデ』市川なつを氏や芳文社の新感覚アンソロジー『HAKOBUNE(ハコブネ)」で注目を集める郷本氏、SNSで話題の『ド直球シリーズ』ふじた渚佐氏など今注目の新人作家も数多く参加している。

融通の効かない堅物教師とちょっとクセ者な女生徒の放課後を描くふじた渚佐氏の『怖がってちゃ始まりませんよ』

憧れのお兄ちゃんは、恋人で、先生に

そんな『先生×生徒アンソロジー』のなかでも異彩を放つ物語が、本作が商業誌デビューとなる依茂歩(いも・あゆみ)氏『ジンジャーブレッドとコーヒー』
『先生×生徒アンソロジー』に収録されているにもかかわらず、ふたりが目指すのは「先生と生徒」という関係性から解放だ。

ずっと近くで見ていた憧れの人の恋人になれた幸せ。けれどそれは新しい悩みを生むことに

ピアノ教室の先生の息子だった雄一(ゆういち)と付き合うようになった実春(みはる)
憧れのお兄ちゃんは、恋人に、そして気がつけば彼女の通う学校の教師になっていた。

互いを大切に思う気持ちは、今も昔も変わらない。
けれどふたりの立場が変わっていくことで、その関係には微妙な変化が生まれた。

肩書や立場は、決して悪いものではない。それがあることで、自分を確立できている人も少なくないだろう。
しかし親しい人間関係においては、肩書はその人自身の存在を覆い隠してしまう膜のように感じることもある。
1枚薄い布を隔てることで、そこにあったはずの体温が感じられないように。

そして人の心は無意識に肩書に引きつけられてしまう。
先生としての自分、生徒としての自分。
本来の自分の気持ちが、自分自身のイメージする教師や生徒に近づいていくような、そんな抗えない力が確かに存在する。

お互いの肩書が変わってしまっとことで生じる、ある種自分たちにもどうしようもない違和感、戸惑いに、実春の心は振り回されていく。



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「先生と生徒」は甘酸っぱいという幻想


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©ふじた渚佐/イースト・プレス
©依茂歩/イースト・プレス