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市川なつを『マイナス温度のセレナーデ』ホットで一途な小学生男子が無口クール女子高生にひと目惚れ

川俣綾加

年下男子が一生懸命頑張る姿は、好きですか?

ひとくちにカワイイといっても、そこに含まれている意味は種々様々。
造形について、態度について、ギャップ、自分の胸の高鳴りから発せられる感想など文脈によって変わる。

明日、第1巻が発売される『マイナス温度のセレナーデ』は口に放り込めば何種類もの“カワイイ”が一度に味わえる、ひとつ屋根の下で進んでいくピュアな年の差ラブストーリー。
多彩なカワイイをひとつのボウルに詰め込んでいるのだ。

まっすぐすぎる告白。この一途さだけで、他の全部が足りないことなんてどうでもよくなってしまう

この作品はジャンルでいうなら“おねショタ”というよりも、年下男子が年上女子にアタックしていく“ショタおね”だ。
お姉さんに翻弄されたり戸惑う少年のカワイイ成分を味わえるのが“おねショタ”。“ショタおね”では、また別のカワイイ成分をたっぷり味わえる。

恋に立ちはだかる様々な「差」

父の再婚により、突然できた高校生の姉・かおると一緒に住むことになった田中翔太、小学5年生。奔放な父と新しい母は新婚旅行へ。初対面なのに、両親が旅行の間は2人っきりで生活することになってしまう。

美人のかおるに「超タイプすぎんだけど!!」とテンションを上げたのも束の間、全く笑顔を見せず無表情、氷の女王と表されるほどクールな態度にひるむ翔太だったが、すぐさま「でもそこがイイかも」とゾクゾク。
はやくも読者にドMっぷりを見せつける翔太……恐ろしい子!

少年の禁断の扉が開いた瞬間。ちょっとだけ心配でもある……

翔太とかおるには様々な差がある。年齢然り、身長も人に対する接し方も。
何よりも差があるのは、翔太の何事にもストレートな性格と、考えや想いを外に出すのが苦手なかおるの性格。

かおるに想いを届けて恋を成就させようとする翔太、翔太を弟とも見ていないかおる。
熱さと冷たさ、直線と曲線の交錯は読者の心にトキメキを生むはず。

一方で、2人とも人に愛される性格で友達が多く、なんとなく放っておけない人間なのは似ている。

カワイイを凝縮した小学生男子・翔太

翔太のカワイさの神っぷりについて説明したい。

弟だと認めてくれなくてもいい(むしろ弟じゃないほうがチャンスがある!)という言葉はおマセカワイイ
女子高生相手に「すっげえ好み」と喜んでしまう姿はなんだか大人の姿をそのままマネしているようで背伸びカワイイ

大人みたいな言葉を使うけれど、まだまだ子どもな翔太がカワイイ

そうして少し背伸びをしたかと思えば、かおるの手料理を食べた時の笑顔、自分の低い身長に涙する姿はまだまだ子供っぽい。
かおるの反応に一喜一憂し、少ないおこづかいで花束を用意する姿は一途で健気カワイイ
同級生女子をかばう姿は男らしくてカワイイ

翔太の男らしさにますます惚れちゃう同級生のクルミ。今後、物語にどう絡んでくるのか楽しみなキャラクターのひとり

本当はしっかりなんかしていない、年相当にまだ親に頼りたい気持ちを隠しているところもまた、彼を見守り応援したくなる。

その身に一体どれほどのカワイイを凝縮しているというのか!?

対してかおるは、カワイイよりも「美しい人」の言葉が似合う。
多くは語らないが相手のことをしっかり見ていて、友人たちの忠告も素直に受け入れる。外見ではなく内面のあり方が美しい。

かおるのめったに見せない表情に読者もドキリ。無表情な彼女からどんな表情が飛び出すのか。それも『セレナーデ』の楽しみ方のひとつ

だが、翔太とかおるに起こるハプニングにより彼女にもカワイイ表情が見え隠れし始め、2人の様相がダブルカワイイ構造に。
ますます展開が見逃せない。

翔太の魅力に悶え、恋を応援し、行く末を読者の皆と見守るのが『マイナス温度のセレナーデ』の楽しさだろう。

カワイイ生きものがひたすら頑張るこの物語は、脳内応援上映がはかどって仕方ない!



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©市川なつを/COMICポラリス ©フレックスコミックス