新連載レビュー
河部真道『バンデット –偽伝太平記–』野心渦巻く南北朝時代、歴史を変えた“悪党”がいた!
加山竜司
骨太な“ワル”を描く新人、最新作は歴史モノ!
講談社「モーニング」の秋の新連載第3弾として、本日発売の45号からスタートしたのが『バンデット –偽伝太平記–』だ。
作者は昨年同誌にてハードボイルドな復讐劇『ボッチャン』を短期集中連載した河部真道氏。すぎむらしんいち氏(『ディアスポリス-異邦警察-』『老人賭博』など)を彷彿とさせるような主線の太さと迫力、キャラクターの濃さ、骨太なストーリー性は、一度作品を目にしただけでも、強烈に脳裏に焼き付く。
まるで濃密な人生経験を濃縮還元したかのような作風だが、まだ24歳。。まさに驚異の新人である。
そんな期待の新鋭が放つ『バンデット –偽伝太平記–』は、「モーニング」の電子版である「週刊Dモーニング」の新人増刊号に掲載された『南北朝キングスメン』をベースにしている。
そのため本作も、鎌倉時代末期から室町時代へと到るまでの、南北朝の動乱期が舞台となる。
世に歴史漫画は数あれど、やはり圧倒的に戦国時代や幕末を扱ったものが多い。そんななか、本作は漫画ではほとんど取り上げられることのない時代を題材としている。
注目株による野心作。それだけで、胸が躍ってくる。
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©河部真道/講談社