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新人賞レビュー

『姉の弁当』栗田はじめ お弁当に込められた姉の気持ちと家族の距離感

小林聖

家族という無関心と関心

姉がいったい次にどんな弁当を繰り出してくるのかというところに惹かれる本作だが、面白いのは弁当を通じて描かれる姉の気持ちが、あくまで主人公の想像でしかないという点だ。

嬉しかったのか、腹立たしかったのか、弁当を通じて想像する時間こそが、姉弟の関係をつくっている。

怒っているのか、怒っているとしたらなぜ怒っているのか。主人公は仮説を立てながら弁当を食べるが、それが当たっているのかどうかは検証されることがない。結局わからずじまいになることもある。1週間同じ中身が続いたときは、「何かあったのだろうか」と戸惑うが、どういうことだったのかわからないまま、姉の弁当は元に戻る。

そこには家族ならではの無関心関心がある。なまじ近しいからこそ、相手の気持ちに立ち入って直接聞くことはない。だけど、全くの無関心というわけでもない。受験を控えた弟のために、弁当に煮干しを入れてみたりと、どこかズレているが姉なりに応援する気持ちが込められている。

大学進学に向けて旅立つ弟。その日も姉の“弁当”は渡される

大学進学のために引っ越しする弟に向けて、最後に渡された“弁当”はそんな関係が凝縮されている。引っ越しの作業に姉の姿はない。別れを惜しんで泣くような場面もない。だが、いつものように弁当が渡される。立ち入りすぎないけれど、無関心でもない、そんな家族の愛情が『姉の弁当』には詰まっているのだ。



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©栗田はじめ/徳間書店