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新人賞レビュー

『姉の弁当』栗田はじめ お弁当に込められた姉の気持ちと家族の距離感

小林聖

家族という絶妙な距離感

家族というのは不思議な関係だ。他人ではない。だけど、だからこそ距離感が難しい。

主人公のモノローグが主体だが、29Pを一気に読ませる力のある作品

「COMICリュウ」が主催する漫画新人賞・龍神賞で銅龍賞に選ばれた栗田はじめ氏『姉の弁当』は、そんな家族の絶妙な関係と距離感を切り取っている。

弁当ににじみ出す、見えない姉の気持ち

主人公は姉とふたり暮らしの男子高校生。家ではなかなか顔を合わせることのないふたりだが、姉は毎日、主人公が学校に持っていくお弁当を作ってくれている。

『姉の弁当』はそんな姉と弟の関係をお弁当を通じて描いていく。ふたりは連絡ノートで近況を報告しあっているが、ノート以上に姉の気持ちが表れるのがお弁当なのだ。

姉の弁当には姉の気分が反映される。上機嫌らしい日は、タコだけでは飽き足らず、ウィンナーはカニや人型にまで

主人公が「500円拾った」とノートに記せば「おかずは自分で買え」とばかりにお弁当を白飯に梅干しだけにし、機嫌がいいとタコさんウィンナーを量産する。基本的に毎日メニューを変えてくる姉のお弁当を見て、主人公は姉の気持ちを想像していく。

弁当に入っていたちくわの磯辺揚げが好きだと伝える弟。だが、姉の反応は一見淡々としたもの

作中では姉は一言も喋らないし、そもそもその姿もほとんど描かれない。だが、淡々と描かれる日々の弁当から、姉という人が生き生きと浮かび上がってくる。そして、姉の弁当に右往左往したり、奇想天外な内容を楽しみにしながら読み進めるようになるのだ。



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©栗田はじめ/徳間書店