明日発売の新刊レビュー
『ふたりぼっち戦争』肘原えるぼ 希望の前進 VS 恐怖と破滅の物語
川俣綾加
戦争という極限状態、姉と弟がふたりで追う夢
「ジャンプSQ.」にて連載中の肘原えるぼ氏の初連載作品『ふたりぼっち戦争』。未知の存在との戦い&家族愛を描いた壮大な終末SF、その第1巻が明日9月4日に発売となる。
未知の侵略者「イドラ」に脅かされるアメリカ。人類存続のため開発された対イドラ生体兵器「アルカナ」を遠隔操作するプレイヤーとなったイリヤ・クラヴィッツだが、そこには衝撃の事実が待ち受けていた。
イドラを倒さなければ人類滅亡
イドラが初めて地球に出現し一晩でワシントンDCを壊滅状態に追い込んだのは10年前。イリヤとその姉・アンナはイドラの襲撃によって両親を失ってしまう。両親の死を理解できないほど幼い弟を前に、アンナは何があってもイリヤを守ると誓い、若くして防衛軍の軍曹へとのぼりつめるのだった。
一方イリヤは5歳で交通事故に遭い、車椅子の生活を送ることに。アルカナのプレイヤーズ試験は身体障害者も応募可能だと知った彼は、自分も誰かを救えるかもしれないと希望を抱き試験へ臨み、みごと初の車椅子プレイヤーとして合格を勝ち取った。
だがそれで終わりではなかった。イドラ対策機関CIOが開発したアルカナ──人型イドラは、人間にイドラ細胞を移植し半イドラ状態にした「ユニット」をプレイヤーが操る兵器。そして「ユニット」には、プレイヤーの家族が用いられた。つまり、イリヤの場合は唯一の家族であるアンナをイドラ化し、彼女を「ユニット」として遠隔操作することになるのだ。
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©肘原えるぼ/集英社