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誰も知らなかった新人賞の裏側を全部見せ! モーニング・ツー×ITAN即日新人賞 その5レポート

籠生堅太

モーニング・ツー×ITAN即日新人賞を制したのは

最終選考にのこった7本の中から、「モーニング・ツー」「ITAN」それぞの受賞者を選ぶ。賞はふたつ。賞金10万円と雑誌掲載権が与えられる大賞と、賞金5万円が与えられる優秀賞だ。青年誌である「モーニング・ツー」と女性誌である「ITAN」、どちらに選ばれるのかは、投稿者にとっては大きな分かれ道となる。

実は前回の即日新人賞では、2名の大賞受賞者それぞれをどちらの雑誌に載せるのかで、ITAN編集長・岩間氏と当時のモーニング・ツー編集長との間で壮絶なバトルが繰り広げられたのだが、今回は比較的すんなりと両誌の受賞作が決まり、会場に拍手が巻きおこる。

「モーニング・ツー」大賞 『Planet Eagle』鳥取砂丘

講評
ファンタジーというジャンルは難しい。それは誰も見たことのない世界を描き、説得力を持たさなければいけないから。空間と世界を描くのがうまく、広がりを感じる。そうした説得力を持たせつつ、あたたかさを感じる作品。

受賞者のコメント
即日新人賞のブースが、自分のサークルの目の前だったので、エイヤッと投稿したところ賞をいただけて驚いています。これも縁かと思い、頑張ります。

「モーニング・ツー」大賞を受賞した鳥取砂丘氏。喜びよりも驚きの方が大きかったと授賞式後に語ってくれた

「ITAN」大賞 『魔女と怪物』吉村あまぐ

講評
1ページ目を見ただけで、実力の高さが伝わってくる。魔女が登場する作品は、「モーニング・ツー」「ITAN」ともに新人賞でもよく見かけるし、世の中に多く存在するにもかかわらず面白く読めた。自分のネーム、自分の画面と会話しながら描けているから、ひとりよがりにならず、読者の心を掴みにいっている。

受賞者のコメント
自分の実力を確認したくって投稿しました。まさか賞をいただけるとは思っていなかったので、とても驚いています。うれしい気持ちで一杯です。

「ITAN」大賞を受賞した吉村あまぐ氏。「ITAN」審査員長・冨澤氏が116作品中、唯一◎(最高評価)をつけたのが、彼女の作品とのこと

「モーニング・ツー」「ITAN」それぞれの優秀賞

「モーニング・ツー」優秀賞 『まどからマドカちゃん』福田やすひろ

講評
完成度が高く、絵のつくりが非常に青年誌らしい。次のエピソードをどんどん読みたくなる。

受賞者のコメント
「賞金とって帰るぞー!」なんて友達に冗談言っていたので、名前が呼ばれた時は興奮しました。

「モーニング・ツー」優秀賞 『足長ギイの帰還』『流行り神プロトコル』中村朝

講評
楽しく読めて、最後は感動するという王道のSF。王道作品を描こうという人は意外と少なく、印象的だった。

受賞者のコメント
即日新人賞のことは前から知っていて、面白そうなので応募しましたが、まさか選ばれるとは思わず……名前を呼ばれてびっくりしました(笑)。




中村朝氏、新連載『僕達の魔王は普通』レビューはコチラ!

「ITAN」優秀賞 『黙せる詩(うた)』秋津那由子×望月カイコ

講評
見開きごとに目が止まるポイントがあり、読者サービスができている。欲を言えば、もう少し明るい画面にして、そのなかで切なさを描いてほしかった。

受賞者のコメント
編集者の方からアドバイスをもらえればと思い投稿したので、賞をいただいていいのかとまだ困惑しています。

即日新人賞は、エンターテイメント

大賞受賞作品は、近日「モーニング・ツー」、「ITAN」それぞれの雑誌に掲載予定とのこと。続報を待ちたい。そして優秀賞、また惜しくも受賞に至らなかった作品の作者も、編集部との繋がりを得た。即日新人賞への投稿をきっかけに「モーニング・ツー」で連載をスタートさせた『アニメタ!』の花村ヤソ氏の例もある。どの作家も次の作品を見てみたい。

自分が普段、慣れ親しんでいるものの裏側を覗き見てみると、そこには想像もしなかったドラマが潜んでいるもの。私たちが普段手にとっている作品も、このような熱いやりとりのすえ生み出されているのかと思うと、よりいっそう愛おしくなる。

漫画について、プロの編集者が意見をぶつけあう様子は、もはやエンターテイメントと呼べるものだった。「漫画家になるための手段」という従来の漫画新人賞に、まったく別の側面を見出した即日新人賞。受賞作家についてはもちろん、イベント自体の今後にも注目していきたい。

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取材・撮影:yomina-hare編集部
取材協力:コミティア実行委員会