1. PR

    作家インタビュー

    『剥き出しの白鳥』鳩胸つるんインタビュー 「『ToLOVEる』よりも裸」から白鳥くんは生まれた

    籠生堅太

  2. PR

    明日発売の新刊レビュー

    『剥き出しの白鳥(はくちょう)』鳩胸つるん 異端の「露出狂」漫画は、王道少年漫画だ!

    籠生堅太

  3. PR

    新連載レビュー

    『キャッチャー・イン・ザ・ライム』背川昇 般若、R-指定が監修の百合×ラップな新連載

    一ノ瀬謹和

  4. PR

    明日発売の新刊レビュー

    『ブルーピリオド』山口つばさ 才能にノウハウで立ち向かう美大受験物語

    根本和佳

  5. PR

    新連載レビュー

    『水族カンパニー!』(イシイ渡) 偏愛獣医×ドジっ子飼育員の水族館コメディ

    根本和佳

  6. PR

    明日発売の新刊レビュー

    脇田茜『ライアーバード』音が見える天才少女と無愛想なギタリスト。2人の出会いが生む音楽

    たまごまご

明日発売の新刊レビュー

『ほとんど路上生活』川路智代 DV父から逃げた先は扉のない宴会場

川俣綾加

これが現実の出来事!? 驚愕のコミックエッセイ

父親からの「昼逃げ」と、そこから始まる混沌混迷の生活を描いた川路智代氏の実録漫画『ほとんど路上生活』が明日6月2日に発売する。

同作で描かれるのは、著者の中学生時代の生活。
パチンコに明け暮れ、家族に暴力をふるう父・クマ造から逃れるため、母・のばら兄・大和、著者、そして妹・みんげつの4人は夜逃げならぬ昼逃げを敢行する。

プライベートという概念の消失した世界。扉なき宴会場には、不審者、虫、ストーカーとさまざまなトラブルがやってくることに

人と荷物を車に詰め込み行き着いた先は、のばらの兄が営業する魚屋。そのはなれである、今はほとんど使われなくなった宴会場に身を寄せることになった4人だが、そこは風呂もキッチンも──そして扉さえもない道路に面した建物だったのだ。

壮絶に壮絶を上塗りしていく数多のエピソード

これは驚きのエピソードの序章に過ぎない。宴会場に突如として現れた「羽交い締めおじさん」や寝ている著者に尿をかける「聖水おじさん」をはじめとする謎のおじさんたち、兄にストーカーする女生徒……。
父親から逃れても、落ち着きを取り戻した状態とはいえない毎日が続く。

度々登場することになる「羽交い締めおじさん」。ただの不審者かと思いきや、じつは一家と意外な接点が……

しかし、昼逃げをする以前の生活はこれより過酷だ。
祖父の会社の破産と、曽祖父が亡くなったことで発生した遺産相続争い、家族に対する父・クマ造の容赦のない暴力。そして、昼逃げと、そのきっかけとなった祖母の自殺
のばらと大和はこの家を出るべく話し合いを進める。

内容に反し、重苦しさはあまり感じない本作。それでも宴会場以前のエピソードは、壮絶だ

……どれだけのエピソードをつめこむ気なのだろうか!?

正確には「つめこむ」ではなく実際に起きた出来事をまとめているだけなのだが、それをわかっていても、この漫画を読んでいると驚き続けることになる。
「まだある!?」「さらにこんな出来事が!?」と驚きの繰り返しなのだ。

NEXT フラットでポップな表現で隠された感情

  1. 1
  2. 2

©川路智代/エブリスタ/小学館クリエイティブ