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『レズ風俗レポ』作者新作は自分自身へのメッセージ『一人交換日記』永田カビ

籠生堅太

私から私へ。むき出しになる心の奥底

『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ(以下『レズビアン風俗レポ』)で大きな話題を呼び、2016年最注目新人のひとりと言って過言ではない永田カビ氏の最新作『一人交換日記』が明日、12月10日に発売される。

「生き辛さ」や正体不明の自分の心のモヤモヤに振り回されたことがない人などいないだろう。そんな気持ちの正体を少しずつ捉えて様子が、事細かに描かれている。

誰かと肌を重ねていても、自分自分を見つめる眼差しがある。前作同様、赤裸々すぎるほどに胸のうちが描かれる

『レズビアン風俗レポ』で、自分自身のことを驚くほど客観的に描き出していた永田氏。
中学時代に行っていた“自分との交換日記”が、まるでもうひとりの自分がいるかのような客観的な視点を養ったのかと納得させられる。
本作はその現代版。永田氏が自分との「交換日記」として、“現在”の自分の思いが、“未来”の自分へと綴られている。

自分のことって意外と知らない

『レズビアン風俗レポ』がそうであったように、『一人交換日記』も何か「人生がハッピーになる方法」が描かれている漫画ではない。
そんなお説教くさい漫画が、こんなにも胸を打つはずがない。
あくまで永田氏がその時その時感じたことが、未来の永田氏に向けて描かれているだけた。

あくまで彼女から彼女へのメッセージ。誰かを無理やり幸せにするような、怪しいメソッドなどではない

ただそこには、彼女がどのようなアプローチで自分の心と向かい合ったが、詳細に記されている。
それを読んで「わかるわ〜」となる読者もいれば、「わかりません!」となる読者もいるだろう。
共感できる、できないよりも、自分の気持ちと向かい合うきっかけを『一人交換日記』は与えてくれる。それが何よりの魅力なのだ。

「自分のことは自分が一番わかっている」
そう思って見逃してしまいそうな、些細な心の変化にだって、何か理由があるはずだ。
自分自身の心の声に、私たちはもっと耳を傾けてもいいのかもしれない。

今も足掻きつづけるひとりの人間の物語

日々感情は変化するし、自分自身のことだからって、正しく把握できるわけじゃない。わりと自分は自分に嘘をついてくるし、都合の悪いことは隠そうとする。

大きな反響を読んだ『レズビアン風俗レポ』。その刊行直後の胸の内も語られる

『レズビアン風俗レポ』の刊行、反響を素直に受け入れらなかった。手を伸ばせば届く距離にある喜びを受けいれられない自分が嫌だった。
けれどいつしかそれを自然と受けいれている自分がいた。

連載期間中ですら、永田氏の気持ちは刻々と変化している。毎回、本当に心のうちをさらけ出しているからこそ、起こるズレ。

「人の日記なんて読んでも面白くない」と思う人もいるだろう。
けれど心の奥底、触れただけでボロボロと崩れてしまいそうな部分までさらけ出した『一人交換日記』には、どれだけ考え込まれたエンターテイメントにも負けない凄みがある。

まさに永田カビという作家の人生を切り取ったような作品。前作以上にたくさんの人に届いてほしい。

※掲載画像は連載時のものです。単行本収録のものと異なる場合がございます。ご了承ください。



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©永田カビ/小学館 ヒバナ