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虎子、人間関係になやむ

コミュニケーションのベクトル違いによる孤独が、この作品のテーマだ。

これまで友達ができたことがない虎子は、極度に自信がない。人との接し方もわかっていない。
だからローターが対等に話しかけてくれて、「虎子」というあだ名を付けられた時、大喜びした。
ところが、ローターがたまたま車にひかれそうになったのを助けた時、力加減を間違えて、彼女の腕をぐしゃぐしゃに捻ってしまう。

あまり力を入れずにひょいっとできるのが虎子の怪力。ただ、実際こうやったら相手の人体がもたない

彼女の行動は、基本すべて善意だ。
だからといって、みんなが認め、彼女を好きになってくれるわけではない。

コミュニケーションが苦手な人は、不本意な言動で人間関係を壊しがちだ。しゃべれない、動きが粗雑、言葉で相手を傷つけてしまう、などなど。本当は友達がほしくても、その術を知らないから、逆に相手の神経を逆なでしてしまう。

虎子の怪力は周囲に及ぼす被害は大きすぎるものの、「不器用ゆえに友達が作れない」という悩み自体は、普通の学生と変わりない。
タイトルにある「あんまり壊しちゃだめだよ」は、物理的な意味合いと同時に、人間関係の作り方を理解できず壊してしまう危険性を示唆しているようにも思える。

虎子、友達の意味をはきちがえる

変態が学校に忍び込んだ時、虎子を囮にして、奪われた鷹野たちの下着を取り返そうとした。
絆を深めるチャンスだと思ったからだ。

役に立ちたい、と彼女は必死。それはとてもいいことだけど、実は「友達がほしい」という自分のためだったりする

しかし「役に立つ」ことは「友達になる」こととはイコールではないのを、虎子はわかっていない。
実際のところ、破壊行動よりも、オドオドしながら空気が読めず、「友達」の意味をわかっていないところこそが、彼女に対する鷹野たちのムカつきの原因だ。
「そもそも役に立つから友達って発想が大間違い」と鷹野は言う。

嫌われたくないからなんでもします……そんなの友達ではない。
虎子がそこに気づいて、心の持ち方を変えるまでは、相当時間がかかるだろう。
物はどんどん壊してほしい。面白いから。

それより友情を、傷ついてもいいから怯えずに積み上げていってほしい。
特に注目したいキャラは鷹野。無意識のうちに、虎子に友達・味方の意味を教え、しつけをしている。「友達」の意味を考える重要な存在になりそうだ。



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©ぬじま/白泉社