明日発売の新刊レビュー
『虎子、あんまり壊しちゃだめだよ』ぬじま いろいろ大きい怪力ぼっち少女の友達作り
たまごまご
触るもの皆壊してしまう彼女の哀しみ
転入生の彼女は、ただ友達が欲しかっただけだった。けれどもみんなが、彼女から離れていった。
怪力すぎたからだ。
『歌うヘッドフォン娘』の作者・ぬじま氏が「ヤングアニマル嵐」で連載中の『虎子、あんまり壊しちゃだめだよ』の第1巻が、明日11月29日に発売される。
虎子、力加減ができない
虎子こと虎沢愛子(とらさわ・あいこ)。不良や問題児が集まる私立大葵(おおあおい)学園にやってきた転入生。
ビルを倒壊させた、熊を殴り殺した……変な噂の割に、やたら怯えている。喧嘩の強い同級生の少女・鷹野(たかの)は、馬鹿にしているのかと激昂する。
しかし鷹野は服を(偶然)引き裂かれてしまう。
ローターこと兎洞(うどう)は片手でぶん投げられる。雀森(すずめもり)の大切な木刀は折られる。猿間(えんま)と不良たちは、彼女が鉄骨を振り回す姿にすっかりビビってしまう。
本人、悪気は一切ない。しかし、自身の怪力の加減ができず、何もかも破壊してしまう。
今までひとりぼっちだった彼女は、部活に入って友達を作ることを目標に、努力し始める。
ところが頑張れば頑張るほど、あらゆる物を壊し、人間を吹き飛ばし、みんな離れていく。
虎子、常軌を逸した怪力
彼女の異常さがよくわかるのは、600円玉のエピソードだ。
100円玉も500円玉も容易に四つ折りにできる彼女。2枚を合わせて押しつぶし、融合させて新たな硬貨を作る。斬新な怪力表現だ。
1巻は虎子のめちゃくちゃな破壊表現、巻き込まれた鷹野たちの散々な有様、軽いお色気が、軽快にミックスされている。筋肉質で巨乳な女の子好きは必見。
一方で虎子のコミュニケーションの悩みも、作者の考える人間関係づくりの本質をしっかり見せながら、丁寧に描かいている。
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©ぬじま/白泉社