明日発売の新刊レビュー
『美軍師張良』秦和生 伝説の美形軍師、始皇帝を暗殺?古代中国史コメディ
武川佑
のちの「彼ら」が無名であったころ
そんな無鉄砲な張良だからこそ、出会える人々がいる。
今はただのごろつきの親分・劉邦(りゅうほう)。
今はただの地方都市の役人である蕭何(しょうか)と曹参(そうしん)。
そして――項羽(こうう)。
無名の人である彼らも、キラリと光る「何か」を持っている。
それは人とは違う「才」の輝きだ。
彼らの名前を、頭の片隅にとどめておいてほしい。もうすでに知っている人は、彼らのキャラクターを「そうきたか」と楽しんでほしい。
2巻以降、彼らがどんなふうに成長してゆくのか、楽しみだ。
単行本の後半では、ついに張良さんは始皇帝の暗殺を決行する。
天才軍師にしては大ざっぱすぎない!? とびっくりする(しかし史実なのである)暗殺方法とは? そして張良さんの遅い初恋とは?
くすっと笑いながら、友人を見守るように、古代の英雄たちの道行きを読んでいこう。
それが人々が愛した、長年の歴史の楽しみ方なのだ。
ようこそ、歴史沼へ!
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©秦和生/芳文社