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半妖と混血青年が妖怪に出会う旅『ようかい歌留多』作画:しお 原作:烏田ウタヲ

武川佑

ふたりがたどる、心優しき旅路

オランダ人の父と日本人の母の子である紫苑(しおん)。
半人半妖の六出(りっか)。

文明開化を迎えた日本、はみ出し者のふたりが橋のたもとで出会う時、新たな道行きがはじまる――。
それは、妖怪に出会う旅。また、自分が何者かを探す旅路。

オランダ人でも日本人でもない紫苑、人でも妖怪でもない六出。不確かな存在だったふたりは旅を通して自分を、互いを見出していく

作画:しお氏原作:烏田ウタヲ氏の新人作家コンビによる『ようかい歌留多』「COMIC it」連載)の第1巻が明日4月15日に発売となる。

半端者のふたりが出会う時

黒船が来航して江戸幕府が終り、文明開化の足音が聞こえる頃、オランダ人との混血である紫苑は、母の死をきっかけにオランダから日本にやってくる。
妖怪に興味を示す紫苑は、ある晩、橋のたもとで半妖の六出に出会う。
奇妙な縁で、紫苑と六出は妖怪探しの旅へ、岩手平泉・中尊寺へ向けて旅立つことになる。

混血児であるせいで周りから冷たくあしらわれ、父ともうまくいかなかった紫苑。彼が親しみを覚えたのが、母の故郷である日本の「妖怪」達だった

おっとり天真爛漫な紫苑と、見た目は子どもながらシニカルな六出のコンビが和む。
絵師・鳥山石燕が描いた『画図百鬼夜行』のような、妖怪が描かれた絵草紙を片手に、寄り道をしたり、茶店でひと休みしたり。ゆっくり進んでゆく旅路。そして惹かれあうように出会う、妖怪たち。

妖怪だって誰かのそばにいたい

道中、ふたりは様々な妖怪と出会うことになる。
人を好いたろくろ首、七五三の着物が欲しい化け狐の母子――。
彼らの出会う妖怪は、『画図百鬼夜行』に描かれたような恐ろしい存在ではなく、人に憧れ、恋い焦がれる存在だ。

別れの時、妖怪たちは笑顔を見せる。晴れやかで、ちょっとだけ淋しげな笑顔だ

半端者のふたりだからこそ、妖怪の孤独に気づき、彼らの切ない想いに耳を傾ける。
優しい解決策が、じわりとしみ入る。

単行本の後半、六出の母親である妖怪が、旅の行く先で待っているらしいことが明らかになる。眠っている紫苑に六出がぽつぽつと想いを吐露するシーンが切ない。

六出の母は彼を捨てた。どんな事情があったのだろうか

はみだし者のふたりが、どうか笑顔でいられる居場所が見つかりますように。
ゆったりと、ふたりを見守りたい、優しく繊細な作品だ。



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©Shio/Utawo Uta 2017