明日発売の新刊レビュー
『シークレットコード 不機嫌な暗号探偵』とりこぼ縞屋 隠された想いを過去から未来へ繋ぐ探偵
籠生堅太
助手のモモは幽霊?
歳の離れた兄妹のように見える紺一郎とモモだが、じつは幼なじみ。
紺一郎が11歳、モモが10歳のとき、ある事故のせいでモモは行方不明に。責任を感じ、自暴自棄になっていた紺一郎の前に、モモが再び姿を現して以来、彼女は歳をとっていない。
紺一郎が、千菫生暗号解読事務所を祖父から引き継いだのも、そんなモモの居場所を守るためだった。
どんどん離れていくふたりの歳の差。いまだ自分を責め続ける紺一郎。紺一郎を支えながらも、彼に依存しているようにも見えるモモ。
過去からのメッセージを伝え、依頼人たちの未来への一歩を支えているふたりこそが、他の誰よりも過去に囚われているようにも感じられる。
同じ時を生きていないふたりが幸せになれる手段を、私は知らない。悲しい結末が訪れないことをただただ祈るだけだ。
ふたりのこれまでとこれからには、どんな暗号が隠されているのか。
物語はまだ始まったばかり。不機嫌な探偵と優しい助手の暗号解きを追いかけていきたい。
小学館 (2017-10-12)
売り上げランキング: 12119
- 1
- 2
©とりこぼ縞屋/小学館