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『ランウェイで笑って』猪ノ谷言葉 無理を覆し、夢への道を進むふたり

ふな

相手の夢の証明が、自分の夢の証明にもなる

ふたりには、共通点がある。
どれだけ足りないものがあっても諦めたくない夢がある、という共通点が。

「週刊少年マガジン」で連載されている猪ノ谷言葉(いのや・ことば)氏の初連載作品『ランウェイで笑って』単行本第1巻が、明日9月15日に発売される。
パリコレモデルを目指す女子高校生・藤戸千雪(ふじと・ちゆき)と、ファッションデザイナーを夢見る同級生の都村育人(つむら・いくと)を主人公とした物語だ。

モデルをするには身長が足りない千雪。
家族のため、デザイン専門学校への進学を諦らめていた育人。
誰もが「諦めろ」という場所から、ふたりは夢に向かい歩き出す。

夢を追いかける途中で壁にぶつかり、挫折しそうになるとき、互いの存在が気持ちをもう一度奮い立たせている様に、心が熱くなる。

お互いが夢に近づくことは、自分自身の夢が無駄ではない証明でもあるのだ

無理を覆す力

千雪はモデルとして身長が足りないという致命的な欠点から、自身の父が経営するモデル事務所・ミルネージュのオーディションに落ち続ける。

モデルの仕事は自分を見せることではない。着ている服を魅せる。
そのためモデルには存在感、すなわち身長が必須なのだ。

それでもパリコレモデルという夢を追い続ける千雪だったが、ある日ふとした疑念が湧き上がる。
自分でも気がつかないうちに、夢を諦めているのではないか。

それは金銭的な事情からデザイン専門学校への進学を選べず、それでもファッションデザイナーになりたいという育人に、「無理じゃないの」と答えてしまったことから生じた疑念だ。


己の言葉が、自分に跳ね返ってくる。

目指したいものがあっても、生まれ持ったものがそれを許してくれない。
自分と同じ背景を持つ育人の夢を否定してしまったことにショックをうける千雪。

すがるように、千雪は他事務所のオーディションを受け合格を勝ち取る。
これでまたパリコレを目指せる。しかしそれは、本当に自分の夢なのだろうか。

ただパリコレに出るだけが、夢ではない。
幼き頃から憧れたミルネージュのモデルとして、パリコレで活躍するのが、本当の千雪の夢なのだ。

彼女に必要なのは「無理を覆す力」だった。
再びミルネージュのオーディションに挑戦するために、彼女が頼ったのは育人だった。
自分と同じく「無理」とレッテルを貼られても、夢を諦めない育人ならば、自分が袖を通すことで一番輝く服を作ることができる。そんな確信があったのだろう。

理屈じゃない。でも、育人の顔が浮かんだ

育人の作った衣装で、千雪はミルネージュのオーディションをパスする。
ふたりの夢を諦めない気持ちを重ねることができたからこそ、無理を覆す力が生み出されたのではないだろうか。



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©猪ノ谷言葉/講談社