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『映像研には手を出すな!』大童澄瞳 女子高生がアニメで目指す“最強の世界”

たまごまご

想像力には制約なんて一切ない! 女子高生3人がアニメを作る

最強の世界を考えて設定を作り込み、背景を描くのが得意な、浅草みどり
お金が大好きで、全体を俯瞰してまとめ、人を言いくるめるのがうまい、金森さやか
カリスマ読者モデルにして超お嬢様、人物画がうまい、水崎ツバメ

右から、想像大好きな浅草、金にうるさい金森、カリスマモデルお嬢様水崎。最強の世界観を目指して突き進む!(注・この絵は妄想です)

アニメを作りたい3人は、部の設立を決意した。
「アニメ研」はすでにあるので、「映像研」という名目で。

最初に与えられた部室は、壁も天井も穴だらけのおんぼろ廃屋。
ここが、想像の飛び立つ場所。アニメを作る自分たちだけの秘密基地だ。

「月刊!スピリッツ」で連載中の大童澄瞳氏によるアニメ制作青春ストーリー『映像研には手を出すな!』単行本第1巻が明日、1月12日に発売される。

想像の世界は、どこまでも自由

浅草が想像を膨らませる。
すると、現実と妄想が一体化していく。

壁の穴を直している時、浅草は宇宙船の修復訓練の妄想をする。
宇宙船の構造も考える。宇宙航行用特定中規模宇宙船。有気圧・高重力下での飛行能力。大気圏突入能力はない。機体後部の翼に見えるパーツは、通信用のアンテナだ。彼女たちは宇宙服を着た宇宙飛行士。

描いたアニメの尺を整える撮影・編集作業。
自分たちが乗っているのは自走三脚式重カメラ。砲塔を旋回させて、背景を流して撮り、キャラをトリミング・拡縮。高いところに登って静止風景を取る。豆タンクだ。

想像力さえあれば、どんなところでも縦横無尽に駆け回れる。
ストーリーがなくたっていい。「楽しい」は、どんなところにでも、どんな作業にでも見つけられる。

リュックひとつでこの想像力。むしろ想像できない世界なんてない

浅草の妄想がかぶさってくると、当たり前の光景すべてが、ファンタスティックに変わって行く。
特にSFやミリタリーが好きらしい浅草、細かい設定を論理的に組み立てていく。ところどころ物理にあわないのはご愛嬌。
たとえばリュックを「プロペラスカート」とイメージ。

空を飛ぶための能力や実用上昇限度、最大離陸重量などの数値を出し、どのような構造で動くのかまで練っていく。
ディティール作り込みは、半端じゃない。

キャラクターと動画の水崎。設定と背景の浅草。プロデュースと制作進行の金森。
彼女たちはまだ部として、正式に認可されていない。
けれど描いたアニメは、人をワクワクさせるパワーがある。

なにより彼女たち自身のワクワク熱は、何があろうと消えなさそうだ。『映像研には手を出すな!』のタイトルの通り。
映像研は想像力がイキイキしすぎて、手の出しようがない!

ただし、能力と金額と時間は、限界がある。
彼女たちにはチート能力はない。その中でどう「魅せる作品」を作るか模索する描写が、実にいい。



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空間を描く吹き出し表現


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©大童澄瞳/小学館