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『ストロベリー・ゴー・ラウンド』カネタケ製菓 姦しい楽園の外へと向かう少女たちの瞬間

小林聖

楽園の外に踏み出す一歩手前。揺れる少女の思い

俗に「女3人寄れば姦しい」なんていうけれど、明日、8月8日に発売されるカネタケ製菓氏『ストロベリー・ゴー・ラウンド』は、まさに女3人の姦しさを詰め込んだ作品だ。

合コンの話題から一気に妊娠の話まで跳躍。最終的には人参に

「プリンセスGOLD」でスタートし、のちに「Champion タップ!」に移籍した本作は、「こじらせ女子たちのガールズトーク」と銘打たれているとおり、まず主人公であるお嬢様学校に通う女子高生3人のハイテンポな会話に心を奪われる。

心地よい「内輪」の姦しさ

そもそもをして、主人公3人の名前が「くーやん」「ぜらちん」「戦艦」である。
「くーやん」はわかる。百歩譲って「ぜらちん」もまあ、あだ名としてあるかもしれない。が、「戦艦」はない。違和感しかない。彼女の名字が三笠だとわかることで、「戦艦」というあだ名が「戦艦三笠」に由来すると察することができるようになるのだが、冒頭はまったく説明なし。読み手の疑問符を吹っ飛ばして、3人のトークが進んでいく。

そして、展開されるのは圧倒的なマシンガントーク
合コンの話題からモテに続き、急にストーキング体験の話に話題が移っていく。その間、文字数がとりわけ多いわけではないが、とにかく吹き出しが多い。3人が止まらずしゃべり続けるのだ。

見よ、この吹き出しの数。画面がもう姦しい!

それはまるでいきなり彼女たちの「内輪」に放り込まれたような感覚だ。
あだ名の理由もわからなければ、どんな子たちかも読者にははっきり説明されない。しかし、読み進めるうちに徐々に関係やキャラクターがわかっていき、「内輪」に入っていく。

「内輪」というのは外側に対しては疎外感を抱かせるが、内側にいる人間には強烈な結束と快楽を与えてくれる。彼女たちの内輪に取り込まれていくにつれて、読者もその楽しさにハマっていくのだ。



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楽園の外に広がる荒野へ向かう少女たち


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©カネタケ製菓(秋田書店)2017