1. PR

    作家インタビュー

    『剥き出しの白鳥』鳩胸つるんインタビュー 「『ToLOVEる』よりも裸」から白鳥くんは生まれた

    籠生堅太

  2. PR

    明日発売の新刊レビュー

    『剥き出しの白鳥(はくちょう)』鳩胸つるん 異端の「露出狂」漫画は、王道少年漫画だ!

    籠生堅太

  3. PR

    新連載レビュー

    『キャッチャー・イン・ザ・ライム』背川昇 般若、R-指定が監修の百合×ラップな新連載

    一ノ瀬謹和

  4. PR

    明日発売の新刊レビュー

    『ブルーピリオド』山口つばさ 才能にノウハウで立ち向かう美大受験物語

    根本和佳

  5. PR

    新連載レビュー

    『水族カンパニー!』(イシイ渡) 偏愛獣医×ドジっ子飼育員の水族館コメディ

    根本和佳

  6. PR

    明日発売の新刊レビュー

    脇田茜『ライアーバード』音が見える天才少女と無愛想なギタリスト。2人の出会いが生む音楽

    たまごまご

明日発売の新刊レビュー

『ストロベリー・ゴー・ラウンド』カネタケ製菓 姦しい楽園の外へと向かう少女たちの瞬間

小林聖

楽園の外に広がる荒野へ向かう少女たち

しかし、ただのハイテンションガールズトークマンガかというと、そうではない。『ストロベリー・ゴー・ラウンド』は強烈な「内輪」を描くと同時に、その外側も描いている。

たとえば、
くーやんが「ストーキングしている」と語る相手は、実は通学途中の地下鉄の向かいのホームで見かけているだけの男の子だ。
不安を吐き出したりもするものの、仲間内では話の種であり、笑いにもしている。だけど、いざ向かいのホームへ行き、その人本人に近づき、名前を知った瞬間、ふっと彼女は我に返る。
「切り離されたまったく違う別の世界」の人に思えていた彼が、同じ世界で普通に生きるひとりの人間であることに気づくのだ。

「内輪」という共感の世界。そこでは「私」がそのまま「私たち」でもある

友人、とりわけ学校という生活背景もともにしている「内輪」は、ひとつの楽園だ。そこでは改めて確認しなくても話は阿吽で通じるし、気兼ねなく何もかもを共有できる。

だが、恋は、その自分の外側へ足を踏み出すことを要求する。何を話せばいいのかわからない、どういう人なのかもまったく知らない楽園の外の人間との対話だ。また、進路や将来といった決断も、その楽園の終わりを求めてくる。

戸惑うことなく生きているように見える他人も、葛藤を抱えている

『ストロベリー・ゴー・ラウンド』が描くのは、楽園の外側へと踏み出すそのほんの少し手前の瞬間だ。誰とも一体でない、自分だけで何かを決める荒野へ向かう少女たちの心の揺らぎが、姦しい楽園の会話劇の向こうに描かれているのだ。



試し読みはコチラ!

  1. 1
  2. 2

©カネタケ製菓(秋田書店)2017