明日発売の新刊レビュー
『文野さんの文具な日常』榎本あかまる 文具フェチな無愛想美人の恍惚の表情
yomina-hare編集部
美人で無愛想、無表情のあの娘は“文具フェチ”
無愛想で有名な美人新入社員・文野(ふみの)は、重度の文具フェチ。普段は、無表情に仕事をこなし、人との会話も必要最低限。ところがひとたび文具遊びを始めると、まるで子どものように熱中してしまう。
そんな文野の意外な一面を知ってしまった彼女の上司・牧田による、文野さんの日常観察が始まる。
「月刊コミックゼノン」で連載中、榎本あかまる氏が贈る文房具フェチ漫画『文野さんの文具な日常』の単行本第1巻が、明日6月20日に発売される。
普段が無表情だから、笑顔がまぶしい
オフィスの一角でふたりで仕事をする文野と牧田。それだけ聞けば羨ましいかぎりだが、牧田にはある悩みがあった。文野の人を寄せ付けない傍若無人な対応を前に、コミュニケーションがとれず、「はい」「いいえ」「何か?」の3単語以外の言葉を引き出すことすらままならないのだ。
そんなある日、牧野がふと隣のデスクに目を向けると、そこには懐かしのロケット鉛筆で、笑顔で仕事(遊び)をしている文野の姿が!
普段とのあまりのギャップに驚く牧田だが、それ以上に楽しそうに文具遊びに興じる文野に目を奪われてしまう。
何かに熱中している女の子は、それだけで魅力的だ。普段が無表情な文野さんの笑顔ならば、されにレア度は高い。
そんな文具遊びに夢中になる文野さんの姿は憧れでもあり、同時に幼いころの自分の姿を重ねる対象でもある。退屈な授業に持ち込むことができる、たったひとつの遊び道具――文具で遊ばなかった子どもなんていないはずだから。
文野さんを見て、牧田は幼いころの自分を思い出す。そのせいか、文具を通して文野と少しずつコミュニケーションが取れるようになっても、その関係は上司部下というよりも、小学生時代の男子女子の意味のわからない対立関係ようだ。
懐かしの「ジャポニカ学習帳」に載っている学習百科ページクイズで対決した際、牧田に向けた、負けん気のこもった文野のふくれ面は必見だ。
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©榎本あかまる/NSP 2016