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『貝とオルタナロック』なこ ツンツン上司×バンドマン部下の百合恋

川俣綾加

オンナノコ然はなし、ひとりとひとりの出会いを描く

牧野も瀬尾も、女子然とした性格でもキャラクタービジュアルでもないのが興味深い。

瀬尾はボーイッシュな出で立ちで、ライブには彼女目当ての女子ファンも多く集まる。
牧野はといえば、かなり目つきが悪い! そしてすぐに睨む!

どちらの特徴も、よくある“女らしい”とされるイメージからは離れていることが強調されている印象だ。ここはいわゆる“オンナノコの世界”ではないのだと感じる。

イチャイチャではなく、ふたりが幸せへと歩み寄っていく様子が淡々と描かれる。それがいい

そのためか、傷ついた過去をもつ不器用な31歳の上司と、実は一途な18歳部下の関係は、もちろん百合であるが、その前に、言葉で表すならば「ひとりとひとりが出会って幸せに近づいていく」という表現がより本質に近い。

牧野の家に泊まったことを瀬尾から伝えられたバンド仲間が「でもあの人(牧野)って女性だったよな…」と考えていることから、それまでの瀬尾の恋愛対象が女性だったというわけではなさそうだ。
牧野にしても、過去に夫がいたこと(つまり恋愛対象は男性だった)から同様のことが言える。

でもふたりは惹かれあっていく。
恋愛対象が女性であるとか、男性であるといった葛藤を軽く抜けていくのが心地よく、読者はもっと前向きな人生を歩もうとしているふたりを純粋に祝福したくなるはずだ。

なんだかんだ面倒見のいい牧野、非常にイイ(でも目つき悪い)。これは良いツンデレ漫画でもあるのです

きっとこれからの人生はもっと幸せになれるよ。

読み手の心を浄化するほどの前向きでシンプルな幸せがここに描かれている。

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©なこ/一迅社