明日発売の新刊レビュー
『清く正しく、偏愛しますっ!』みたありさ 好きすぎて偏った恋。青春はストーカーだ!
ふな
ストーカーに恋は難しい
本人が充実しているならば、誰がなんと言おうとリア充だ。
その充実具合が、ストーキングによるものだとしても。
「マンガワン」「裏サンデー」で配信中のみたありさ氏の初連載『清く正しく、偏愛しますっ!』は、好きという気持ちを追いかけすぎて、恋の仕方が偏ってしまった須藤ほのかを中心としたラブコメディー。明日11月10日発売の単行本1巻は、なんと連載時から全ページ加筆修正という気合の入りようだ。
小学館 (2017-11-10)
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想うだけで幸せ
ほのかの想い人は、頭がよくて気さくで、オマケにイケメンの瀧川大地だ。
ふたりが小学生の頃、自己主張がうまくできず、無実の罪を被りそうになったほのかを、瀧川が助けてくれたことがあった。
そんな些細なきっかけから始まった恋も10年目。
瀧川の後ろを追いかけ続けてしまった結果、元々引っ込み思案なほのかはストーカーに青春を見出してしまう。
10年間想い続けて、最終的に自己主張しないストーカーになってしまうのだから面白い。
好きな相手に認識してもらえないことを想像すると胸が苦しくなる。それを10年間も続けて、これからも「見るだけでいい」と思えるほのかを、ストーカーだけど尊敬してしまいそうだ。
ずっと瀧川を見てきた彼女だからこそ、彼が周囲に隠していたBL喫茶でのアルバイトにもたどり着ける。
秘密を握っても、それを理由に迫ることもなく、眺めているだけでいいと心から思っている。
ストーカー癖のあるヒロインといえば、ヤンデレ的な要素を持つキャラも多い中で、ここまでピュアなストーカーヒロインが存在するなんて……。
小学校のときとは逆に、ほのかが瀧川にかけられた疑いを晴らしてあげたあとも、彼女の「見ているだけでいい」という気持ちは変わらなかった。
そうするうちに瀧川にも、ほのかの偏ってはいるものの濁りのない「好き」という気持ちが少しずつ伝わっていく。
ほのかのことを変な奴程度にしか思っていなかった瀧川が、彼女と過ごす日常を悪くないものと思い始めていることが読み取れて、ニヤっとなってしまう。
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©みたありさ/小学館