明日発売の新刊レビュー
『世界の隅のオペレッタ』由村 ピュア少女と過保護人外の甘い恋愛譚
川俣綾加
ひとつ屋根の下、人外×少女の胸キュン重なる日々
働き者の人間の少女・レオナと自称小説家の“異界人”アルノーの恋を描いた、人外×少女の甘ゆるファンタジーロマンス『世界の隅のオペレッタ』が明日6月24日に発売となる。
本作は人外恋愛アンソロジー『異種恋愛物語集』に短編として掲載された作品。好評を博し、「ゼロサムオンライン」での連載に至った。同じく24日に発売される『異種恋愛物語集』第四集には、アルノー視点の続編が掲載される予定だ。
危うすぎる天然ピュア少女に隠れゾッコン人外
はるか昔、世界では人間と異界人が戦争を繰り返していた。長い戦いの末、「このままでは地上は荒み、互いに絶滅しかねない」と和平の道を歩むことにしたのだった──。
ときはたち現代、人間と異界人がともに生活する社会。仕事の帰り道、空腹のあまり毛玉状態で行き倒れていたアルノーを手助けし「パートナーは? レディを守る方は? いなければその席に私を…」と申し出(?)られ、レオナの家に居候として住み着き共同生活を送ることに。
レオナ、君はとても危ういぞ……! と心配になってしまう。
安全かどうかわからない他人に押しかけられ共同生活、しかも実態のわからない「自称小説家」。しかし、アルノーは非常に紳士的でレオナを丁寧に扱い、驚くべきことにふたりの生活は順調に進んでいく。
一見ただのニートに見えるアルノーは陰ながら立ち回る。ときにレオナに対して給料未払いのまま夜逃げしたカフェ店長を追い詰め、ときにレオナのストーカーを排除。
天真爛漫に、日々を懸命に生きる彼女を守るためなら、手段を選ばない。
紳士の皮を被り素知らぬフリをしているが、過保護なまでの愛情がアルノーにはあるのだ。
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©由村/一迅社 2017