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福地カミオ『猫神じゃらし!』第1巻 神様は、幼女でポンコツ、だからかわいい!

たまごまご

無邪気なかみさまとJCの、楽しいことだらけの夏休み

「かわいい」の権化のような新キャラクターが生まれた。いつも笑顔で、ポンコツ。とっても健気で、甘やかしたくなる、幼女の神様だ。

町に古くから伝わる伝説、“ネコガミさま”。「そのお姿はまるで化け猫のようで、長い尻尾の先端には恐ろしい形相の猫の顔が付いている」と言われている。

13歳の秋雨沙耶(あきさめ・さや)は、ネコガミさまを恐れていた。ところが彼女が出会ったネコガミネコガミさまは、キュートで幼い女の子。
名前は「こまり」。伝説どおり尻尾には別人格のしゃべる猫がくっついている……けどそれだけ。
彼女は猫呼び鈴で猫を集めることができる……けどそれだけ。

こまりは、すっかり沙耶になついて毎日遊びに来るように。
とってものんきで、ちょっとカオスな夏がはじまった。

幼さとかわいさ

明日10月7日に第1巻が発売される『猫神じゃらし!』は、「こまりのかわいさ」「周囲の変人」表現に徹したノリが楽しい作品だ。
特に「幼さ」の表現が、ものすごくうまい。

こまりはメンタルがあまり育っていない。神様なのにすぐに泣く。
わがまましているわけではない。自分がミスをして、相手に嫌われることへの恐れが、ものすごく強いのだ。

沙耶のお母さんと初めて会ったときのエピソードがそれをよく表している。
お母さんに“伝説のネコガミさま”として警戒されたこまりは、ボロボロ泣いてしまう。

「こ……こまりのことキライにならないでください……! 猫神さまはたしかに怖くってスゴイですが、人間に悪いことはしません!」

彼女は問題が起きたとき、相手を責めるのではなく、自分を抑える方向に思考が向く。図々しさは全くない。その姿、見ていて庇護欲がどんどんわいてくる。

誰かを喜ばせたい、と願うこまり。そのためなら泣きながらでも頑張る

こまりは、どんなものにでもワクワクする。
彼女は知識量が少ない。魚が海を泳いでいることすら知らない。それゆえに沙耶の前でドジを繰り返す。
見るもの全てが新鮮だから、失敗を恐れず何にでも興味を持つ。彼女の瞳にはいつもキラキラ光が描かれている。

神様、振り回される

こまりは一応は神様。特別な存在のはず。
しかし彼女の周りのキャラがあまりにもトンチキなため、正直まともに見えてしまう。

沙耶の友達の寒恋雪子(かんごい・ゆきこ)。とても優しくて、こまりともすぐに仲良くなった。
しかし彼女はどこででも、どんな状態でも寝てしまうという特異体質。海で泳いでいる最中に寝てしまって、溺れるほど。

沙耶の後輩、オカルト少女・九生葵(きゅうしょう・あおい)。こまりを悪霊と呼び、追い掛けている。
行動が過激で、ナタを振り回す物騒っぷり。

九生葵の行動は周囲に迷惑かけまくり。こまりのこと、いじめないでください……!

こまりは彼女らに振り回されっぱなし。神様なのに控えめな性格なので、対抗しようとしないこまり。
それどころか、頑張って雪子たちのことを理解しようと努める。
周囲が変であればあるほど、こまりの健気さが引き立っていく。

沙耶たちを慕ってつきまとう姿は、猫がかまって欲しいときにニャーニャー鳴くのと似ている。
「えへへー! この前は楽しかったなー! 今日は何して遊ぼっかなー!!」
笑顔でじゃれてくるこまり。彼女が見ている世界は、とっても広くて、面白いことで満ちている。



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©福地カミオ(週刊少年チャンピオン)