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『針棘クレミーと王の家』唯根 いたずらハリネズミと英国紳士のノスタルジックファンタジー

籠生堅太

どこか懐かしい動物ファンタジー

いたずらっ子なハリネズミの目を通して描かれる世界は、賑やかだけど、穏やかで、時間がゆっくり流れているような優しさがある。
英国が舞台のファンタジーに、なぜか懐かしさを感じてしまう。それはのんびりとした日々が、いつの間にか過去のものになってしまったことの現れなのかもしれない。

キャットドアから現れたのは、ハリネズミのクレミー。そのままアーサーの家の一員になってしまう

唯根(ゆいね)氏が、竹書房の4コマ誌「まんがライフMOMO」で連載中の『針棘クレミーと王の家』
ハリネズミのクレミーと、つけると動物の言葉が理解できる不思議な指輪を持つ紳士・アーサー、そして彼のペットの黒猫とレトリーバーの日常を描いた作品だ。
明日12月16日には、単行本第1巻が発売される。

クレミーの瞳にうつる世界

好奇心旺盛なクレミーの登場によって、アーサー家の日常は、少しだけ騒々しいことに。
なにせ黒猫のボニートは、毎日クレミーにキャットフードを奪われて怒っているし、レトリーバーのポルカは新しい遊び相手の登場におおはしゃぎだ。
楽しそうにしているだけで、彼らのかわいさは一層際立つ。

見ていて微笑ましい3匹の掛け合い。クレミーの登場に、ボニートはすっかりご機嫌ななめ

こう書いてしまうと、動物たちのドタバタコメディのようだが、作中では何か大きな事件がおこるわけではない。
ただクレミーは、些細なことにでも目をキラキラと輝かせている。
誰にだって、世界が輝いて見えた頃があったと思う。そんな「あの頃」の感情が揺さぶられる。

みずから手紙になるクレミー。自由な発想は、人間の子どもを見ているよう

素朴な描線にフリーハンドで引かれた枠線、そしてトーンを使わず表現される光と影。
適度にぬけた作風で描かれることで、クレミーたちのかわいいさと、ちょっとだけノスタルジックな気持ちがスッと心にしみてくる。



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心にちょっと刺さる棘


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©唯根/竹書房