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写真が心に残すもの

タイトルにもあるテーマのひとつ・写真が、葵とサラの成長を描く上で重要な役割を果たしている。

サラは、母親と一緒に写っている写真を宝物として大事にしている。
本人はあまり覚えていないようだし、人が亡くなるということも、まだうまく理解できていないようだ。
それでも、写真を見ていると幸せな気持ちになるらしい。

写真は、覚えていなくても幸せを与えてくれることもある

『にじいろフォトグラフ』における写真は、誰かと一緒に過ごした時間の記録、という意味合いが強い。
人は誰かと一緒にいることで、幸せを得られる。しかし過ぎてしまった時は、もう戻らない。

物語は葵たちの家族から、山吹姉妹の幼なじみのあずき、高校で初めてできた友達の心(こころ)、そしてその妹の由愛(ゆあ)とコミュニケーションの輪は次第に広がっていく。

街に遊びに出かけた時、心は葵に「積極的に写真撮るようにしてるんだ 自分のことも由愛のことも」と言う。

「楽しい時間って過ぎていくばっかりで……巻き戻せたらなってよく思うんだ」

最もポジティブそうなキャラが、意外な寂しさを抱えている表現を入れてくる。さみしくない人間なんていないのだ。

今起きている幸せを失いたくない、後悔したくない、だから写真を撮ろう

会話を重ね、手をつなぎ、ハグをする。コミュニケーションを重ねることで、葵の不安は消えていく。さらに嬉しかった気持ちを写真で積み重ねていけば、少しずつ自信も持てるようになる。
ダイナミックな事件は起きないけれども、会話ひとつ、写真1枚が大きな意味を持つ作品だ。

2巻からはサラが幼稚園にいく展開がはじまるらしい。
人間関係が一気に外側に広がることになる。これでサラがどう成長するのか、それを葵たちの家庭にどう持ち込んでいくのか、非常に楽しみだ。
ひとりの人間の世界が広がれば、その人に接する人間も視野が広がり、連鎖していくはずだ。



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©倉崎もろこ/芳文社