明日発売の新刊レビュー
『まんが家cherry!』さふぁ太 気弱女子と突飛な仲間のガチンコまんが道
たまごまご
濃すぎるキャラが見せるもの
連載に先がけて掲載された読み切り版「まんが家Cherry!」も巻末に収録されている。
実は読み切り版から継続して登場しているのは、春香とまさみ先生だけ。リアルにいそうな女性キャラ揃いだった読み切り版に比べて、連載版のキャラクターはみな個性的だ。
遠い南国から漫画家になるため日本にきたアイリーン・ブンガ。褐色肌で日本語がヘンで任侠漫画好き。
眼鏡の頼れるお姉さん可憐センパイ。妖怪漫画が大好き。巫女。
コテコテの関西弁で野球好き、ハイテンションなツインテール娘・海堀やよいなんかは、いるだけで画面が賑やかになる。
本連載に当たってキャラの大多数を入れ替え、見た目も中身も尖ったキャラ揃いにしたのは英断だろう。
萌え力のあるギャグテイストと、痛みを含んだリアリティのバランスが、うまく取れた作品に仕上がっている。
漫画を描くときの適正
春香はキュンキュンな少女漫画を描きたくて仕方ない。しかし担当編集者の石刈場(いしかりば)は「ギャグ漫画を描け」という。
夢多き新人漫画家にとって、自分が描きたいものと違うものを求められるのは、試練だ。
「私に恋愛マンガの才能がないって思ったから…? でも恋愛マンガで佳作取ったばかりなのに…!!」
春香のなかに編集者への不満が募る。
石刈場が「ギャグ漫画を描け」というのは、春香の中にギャグの才能があると認めているからこそ出てくる評価。ものすごい褒め言葉だ。
ただ経験が薄さから、春香にはそれに気づけていない。
描きたい漫画への情熱と、客観的に見た自分の適正の折衷点を見つけ、プロとして成長する。
多くの漫画家がぶつかるこの壁を、春香がどう乗り越えていくのか。どんどん痛い思いをして、強く成長してほしい。
芳文社 (2017-11-09)
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