1. PR

    作家インタビュー

    『剥き出しの白鳥』鳩胸つるんインタビュー 「『ToLOVEる』よりも裸」から白鳥くんは生まれた

    籠生堅太

  2. PR

    明日発売の新刊レビュー

    『剥き出しの白鳥(はくちょう)』鳩胸つるん 異端の「露出狂」漫画は、王道少年漫画だ!

    籠生堅太

  3. PR

    新連載レビュー

    『キャッチャー・イン・ザ・ライム』背川昇 般若、R-指定が監修の百合×ラップな新連載

    一ノ瀬謹和

  4. PR

    明日発売の新刊レビュー

    『ブルーピリオド』山口つばさ 才能にノウハウで立ち向かう美大受験物語

    根本和佳

  5. PR

    新連載レビュー

    『水族カンパニー!』(イシイ渡) 偏愛獣医×ドジっ子飼育員の水族館コメディ

    根本和佳

  6. PR

    明日発売の新刊レビュー

    脇田茜『ライアーバード』音が見える天才少女と無愛想なギタリスト。2人の出会いが生む音楽

    たまごまご

明日発売の新刊レビュー

権平ひつじ『ポロの留学記』最強の悪魔が教えてくれる人間界の素晴らしさ

川俣綾加

悪魔から見たら、人間界が異世界だ!

ずっと昔から人間は、神や悪魔や天使といった虚実つかぬ存在に信仰、敬愛、畏怖を抱いてきた。現代になってもそれは息づいており、日本であれば物語の中ではおなじみの存在だ。
間が彼らに思いをはせてきたように、もしかしたら彼らだって人間のことを思ってきたのかもしれない。

たったひとりで人間界のグッズに囲まれていたポロ。今度は人間界で友達に囲まれる生活を目指す

「週刊少年ジャンプ」に連載中の権平ひつじ氏の初連載作品、『ポロの留学記』明日6月2日に第1巻が発売となる本作は、つまりは「悪魔だって人間界に行って色々やってみたいかもしれないじゃん!?」を描いた(悪魔にとっての)異世界体験ドタバタ学園コメディ

日常とバトルで感じる描き手のギャップ

魔界は強さが全てだ。悪魔たちは「強さランキング」のさらに上を目指すべく、血で血を洗う戦いを昼夜繰り広げていた。ランキングを抜けるには「死」しかない。

暴力を嫌い、人間界のカルチャーを心の拠り所にしていた次期魔王・ポロ(2000歳)は、現魔王が引退し新たな魔王に就任するまでの1年間、人間界のニッポンに留学しその素晴らしさを魔界に持ち帰ろう! と思い立つ。

慣れない人間界で、ポロの心の支えになっているユウタ。ポロが悪魔と知っても変わらず接してくれる。将来大物になりそうな予感

天地高校2年C組に転入したポロは、気さくに声をかけてくれた人吉優太(ひとよし・ユウタ)と仲良くなり、ウキウキ高校生ライフをスタートさせる。せっかく育まれた友情に目をつけたのが、ポロの命を狙う悪魔たちだ。

実はポロは、魔界強さランキング総合1位の悪魔。ランキング上位を狙う悪魔からひっきりなしに命を狙われているのだ。ユウタを誘拐し、その隙を突こうとした悪魔──が、圧倒的な強さの前には無力。

ここまで、少年漫画の中でもかわいい絵柄でコメディタッチに進んでいた。なのに、バトルシーンでは打って変わる。

「ここだけ作品違うんじゃない!?」と驚かされる。ちなみに、読み進めていくとポロがヤムチャっぽくなってるシーンもあるぞ

日常シーンとバトルシーンのこのギャップは何たるや。
臨場感や高揚感で見せるのではなく、止め絵で“ポロの他の追随を許さない強さ”を表現。荒く何度もなぞったようなキャラクターの線。敵を冷徹に見つめるポロの瞳。

ここはポロのギャップに驚かされるシーンだが、それよりも権平氏の描き手としてのギャップに「なんじゃこりゃあ!(褒め言葉)」を贈りたい。

最強の悪魔は誰より人間らしい

ユウタに人間ではないことがバレるが、基本的に人のいいユウタはそれをあっさりと受け入れ、ポロの学園生活は続く。

魔界に「恋」は存在しない。強い相手の子を産むためだけにポロに迫る許嫁のルイカは、ポロが体験してみたいというデートを通して「恋」が何かを知っていく。

ポロより先に恋という感情を知ったルイカ。このあと天使のノンノも加わって、ポロをめぐる天使と悪魔の戦いの日々が始まる

魔界に「労働」の概念は存在しない。ポロは人間界で初めてコンビニアルバイトに挑戦し、天界のトップで「神様」であるカムイのおちょくりを受けて「労働」を体験する。

ユウタの家を訪れたポロは、「家族」がどんなものかを感じ取る。

人間界での体験は、魔界にはない気持ちをポロ達に教えてくれる。それは人間界の人間も当たり前すぎて通り過ぎてしまっているものかもしれない



試し読みはコチラ!

©権平ひつじ/集英社