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ワンルームにたむろする男子学生のモラトリアム日常コメディ『だんしんち』岡叶

川俣綾加

男子学生のダラダラした日々を覗き見

男子大学生のひとり暮らし。
六畳一間、家賃3.5万円のボロアパートに住む大学2年生の「だんしん」こと壇野心志(だんの・しんじ)と、彼の部屋に集う2人の悪友がひたすらモラトリアムライフを満喫する日常コメディ『だんしんち』は、「男子学生のひとり暮らし」、このワードで思い浮かぶ、まさにそれである。

暇な男子学生3人がひたすら部屋でダラダラする。それだけなのに、なぜか楽しい

WEBコミックサイト「コミックNewtype」で連載中の岡叶氏の初連載作品『だんしんち』の単行本第1巻が明日4月10日に発売される。

男子学生の生活を定点観測的に楽しむ

だんしんの部屋をたまり場にしているのは、だんしんと同じ大学に通う天然系イケメンの「ぐーぐー」こと神宮寺悠寓(じんぐうじ・ゆうぐう)オレ様なロン毛メガネ美大生「シャンピ」こと石徹白武道(いとしろ・ぶどう)。だんしんはたまり場を提供している家主なのに、使い走りをさせられたりイジられたりと、本人の要領の悪さや人の良さも相まってなかなかの不憫系家主だ。

3人は部屋でラーメンを作る際に騒ぎすぎたあまり上の階の住人から床ドンをくらったり、夏を満喫したりと、ひたすら怠惰に日常を過ごしていく。

そんな彼らを定点観測するように眺める漫画だ。

なぜ定点観測だと感じたかは、第1話のカラー扉に注目して欲しい。だんしんがこちら側を見ているのがおわかりだろうか。そこから、もしかして部屋のどこかに設置されたカメラを通して彼らの生活をのぞいているのかも? なんて想像が膨らむのだ。

左から、だんしん、シャンピ、ぐーぐー。全員が床の上に座れるほどスペースがなくて、誰かベッドに座ることになるこの狭さ。ひとり暮らしあるある!

間取りと小物に著者の執念を感じる

もうひとつは、だんしんの部屋のつくり。この間取り、物の置き方、まさに学生のひとり暮らしあるあるだ。

玄関入って2秒でキッチン! コンロは1口! ユニットバス! 狭い廊下を進んだ先に小さなテーブルとベッド! 物がやたらと床置きされて雑然! キッチンの作業台が狭くてまな板は縦に置いて使用! 1階が安いから1階をチョイス! 積み上げられた洗濯物(洗濯済み)!

ひとり暮らしの男性の部屋にたむろした経験がある人は「あ〜、この感じ!」と膝を打つはず。

狭いワンルームが舞台なのに、グッと引いた構図のコマがたくさん描かれている。それがまた彼らの生活を観測している気分にさせてくれる

お話はゆるいテンポだが、部屋と小物の描写はちっともゆるくない。
「あるある」を演出するために緻密に描かれているので、本当に覗き見をしているような、部屋に遊びにいったような気持ちになる。
間取りを意識させるような構図も見事で、間取り好きにも嬉しい。
登場するかはわからないけれど、シャンピやぐーぐーの部屋もぜひ見てみたい。

シャンピは料理をする時に「出汁ある?」と真っ先にだんしんに聞くあたり、生活力が高そうだ。ぐーぐーはひたすらマイペースモテ男

かつてひとり暮らしをしていた人も、この先ひとり暮らしをするかもしれない中高生も、こんな生活もどこかにあるのだとゆるく眺めてみよう。



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©Kanato OKA 2017