明日発売の新刊レビュー
お嬢様とメイドたちの激甘主従ライフ『ちょこメイト』山田あこ
川俣綾加
お嬢様とメイドがイチャイチャしまくります
百合漫画の醍醐味は刹那の瞬きにある。
少女の一瞬の輝きを目撃し、それがいつか終わりに向かうものだと予感することが読み手の心に何かしらの感情を落としていく。
『ちょこメイト』はその逆だ。たぶん、この世界はどこまでも続いている。
「コミック百合姫」で連載されていた山田あこ氏による『ちょこメイト』単行本が明日1月18日に発売される。
つきることのない甘い幸せ
中学入学を控えた小野宮財閥お嬢様・凛奈(りな)に付き従うのは、クールでしっかり者の詠子(うたこ)、天真爛漫で元気なひなたの2人のメイド。彼女達、とにもかくもお嬢様のことが大好きでたまらないのである。
特に詠子は、いじわるしたり厳しく接したりと凛奈を怒らせることもあるが、実は部屋の壁に凛奈の写真を貼りオリジナルグッズをこさえている、病的なまでにお嬢様ラブなメイドなのだ。
ひなたは凛奈だけでなく、詠子をもあたたかく見守りそっと手助けする非常にバブみが溢れたメイド。凛奈はメイドたちを鬱陶しがりながらもかけがえのない存在として大切に思っている。
……なんて完璧で幸せなトライアングル!
このお嬢様とメイド、一生こうやってイチャイチャしながら過ごすんだろうな。それが永遠に続いていきそうな安心感。チョコレートに粉砂糖をぶっかけ山盛りしたようなエピソードをひたすら味わえる漫画だ。
きっと彼女たちの関係はどこまでも続いてく
彼女達の通う学園は普通科とメイド専攻科にわかれているため、お嬢様もメイドも一緒に通学できる。
つまりは、そこは様々なお嬢様×メイドの宝庫なのだ。
凛奈の幼なじみである千景(ちかげ)のメイド・絢(あや)は大人のお姉さん。元気いっぱいな千景と、それを穏やかに見守る絢は年の差カップルを連想させる。
中学のクラスメイト・こはるとメイドの菜々緒は、飼い主とワンコのよう。家政科部の優は一見すると亭主関白だが、実はメイドのありすに手綱を握られており超過保護。
ショーケースに並べられたケーキのようにかわいくて甘い世界が『ちょこメイト』にある。
ときにはメイドとお嬢様がすれ違いほろ苦さが広がる時もあるが、その後にはいっそうの甘さを感じることだろう。
きっと彼女たちはずっと楽しく仲良く暮らしている。
どこまでも続いていそうなその世界を、読者は垣間見ることになるのだ。
©山田あこ/一迅社