明日発売の新刊レビュー
DKO(男子高校生おんな)、今一番ヤバい存在『男子高校生とふれあう方法』地球のお魚ぽんちゃん
籠生堅太
男子高校生を脅かす、一番新しい都市伝説
Twitterに投稿された1P漫画に、多くの人が衝撃を受けた。
無垢なDK(男子高校生)とのふれあうため、昼夜を問わず現れるDKO(男子高校生おんな)。
サッカーボールに擬態し、甲子園の土に埋もれ、カフェのソファに潜む。やってることも、ネーミングからも、もはや妖怪の類なんじゃないかと疑いたくなる。
そんなDKOを姿を描いた『男子高校生とふれあう方法』がいよいよ単行本になって、明日12月28日に発売だ。
著者は地球のお魚ぽんちゃん氏。
……作品に負けず劣らずのパンチの効いたお名前である。一度聞いたら二度と忘れられない。
DKOは誰の胸のなかにもいる
DKOのあまりのキモさには衝撃を覚えるし、同じことをおっさんが女子高生にしたら、確実にポリス沙汰である。
おまわりさーん、こっちに変態がいまーす!
それでもDKOが許されているのはなぜか。
彼女の行動原理が「エロいことしたい」じゃなく、「DKとふれあいたい」だからじゃないだろうか。
だから彼女はDKとハグするため、全身整形して自らもDKに化けてみたり、クリスマスイブにDKのベッドにそっと潜り込んでも、それ以上のことは何もしない。
「DKとふれあう」がDKOにとって、唯一の目的だし、最終到達地点なんじゃないだろうか。
冒頭でDKを妖怪の類と称したけど、あながち間違いじゃないのかもしれない。
地球のお魚ぽんちゃん氏は、女子SPA!のインタビューのなかでこう語る。
彼女は、私の何かを表しているというよりかは、世の中の男子高校生好きの気持ちや行動を代弁してくれる「概念」のような存在です。
やはりDKOは、現代の妖怪なのかもしれない。
DKに心おだやかな瞬間はない
とはいえ、やはり男性読者的にはDKOは恐怖だ。
「暇さえあればエロいこと考えてるDKなら、たとえDKOだろうと女性に触ってもらえるとか、ごほうびじゃないの?」
そんな風に考える人は、ちっともDK心理をわかっていない。
DKは世界で一番ピュアな生きものなのだ。好きな人以外との過剰な接触など、御法度である。そのピュアさが、DKOを引きつけるのだろうか。
またDKはテリトリーにも敏感な生きものなのだ。
勝手に部屋を掃除するお母さんに「勝手なことすんなよ、ババア!」と悪態をついたことがある元DKも多いだろう。
そんなDKにとって、気づけばゼロ距離にいるDKOに感じる恐怖は計り知れない。
恐怖をさとられないため、心が壊れないため、人は笑うことがあるらしい。
『男子高校生とふれあう方法』を読んだときに発した笑いのうちいくつかは、もしかしたら恐怖だったのかもしれない。
双葉社 (2016-12-28)
売り上げランキング: 2090
©地球のお魚ぽんちゃん/双葉社