1. PR

    作家インタビュー

    『剥き出しの白鳥』鳩胸つるんインタビュー 「『ToLOVEる』よりも裸」から白鳥くんは生まれた

    籠生堅太

  2. PR

    明日発売の新刊レビュー

    『剥き出しの白鳥(はくちょう)』鳩胸つるん 異端の「露出狂」漫画は、王道少年漫画だ!

    籠生堅太

  3. PR

    新連載レビュー

    『キャッチャー・イン・ザ・ライム』背川昇 般若、R-指定が監修の百合×ラップな新連載

    一ノ瀬謹和

  4. PR

    明日発売の新刊レビュー

    『ブルーピリオド』山口つばさ 才能にノウハウで立ち向かう美大受験物語

    根本和佳

  5. PR

    新連載レビュー

    『水族カンパニー!』(イシイ渡) 偏愛獣医×ドジっ子飼育員の水族館コメディ

    根本和佳

  6. PR

    明日発売の新刊レビュー

    脇田茜『ライアーバード』音が見える天才少女と無愛想なギタリスト。2人の出会いが生む音楽

    たまごまご

明日発売の新刊レビュー

安倍川「バターチーズガール」女子高生たちのおしゃべりは日常とカオスを行ったり来たり

たまごまご

無軌道なおしゃべりのなかに、カオスへの扉が潜んでる

大学生にしか見えないツッコミ役曳馬(ひくま)ゆう、中学生にしか見えない猪突猛進お馬鹿さん伊場朝華(いば・あさか)、小学生にしか見えない驚きの妖精体型鴨江真昼(かもえ・まひる)
3人の高校生の共同生活……あっ、違う、4人? ……なんかおかしいぞ?

メインキャラ3人。Fカップこと曳馬ゆう。つっこみを一身に担う苦労人

一応は人知の範囲内の女子高生の生活を描いているはず。
なのだが、時折その歯車をしれっとずらしてくるから、油断ならない。

会話劇とシュールのハイブリッド

ベースは、アクの強い面々が繰り広げられる日常コメディだ。
朝華はいたずらばかりで、迷惑な行動を繰り返しては、ゆうに怒られている。
ゆうが大好きすぎる生徒会長常盤真夜(ときわ・まや)は、ストーキングを行い、ゆうを悩ませている。
美大生の龍善寺(りゅうぜんじ)は、モデルと称してセクハラ行為を働いて、ゆうを困らせている。
……がんばれ曳馬ゆう。

ボケ多数とツッコミ少数。会話はテンポよく進む。
ただふとした瞬間に、理解のできない展開が飛び込んでくる。

なかでも、研究員・海老塚(えびづか)の存在は異彩を放つ。

理解に苦しむ、海老塚の存在。いると思えばいないし、いないと思ったらいる

海老塚(24)は、どっかの研究所に所属しているらしい。どこだ?
3人が引っ越して来た部屋にいつの間にかいて、大家さんとの謎交渉の末、3人+1人の生活が始まってしまう。

5話まで海老塚同居問題を描いているものの、6話では1コマも出ない。みるみるうちに空気と化していく。
と思ったら割とめんどうなタイミングで出現、会話を荒らす。

ポンコツ生徒会長・真夜が、ゆう目当てに家に上がり込んできた時。
「これは、天気予報のマシンなのだよ」と何の脈絡もなく会話に割り込む。
こんなのが繰り返されるから、ゆうも「ほんっと唐突に話に割り込んできますね、海老塚さん……」と困惑。

海老塚はその後、毎月60万、謎の稼ぎを生みだして3人の生活に大きな影響を与える。
これがあまりにも不可解すぎて、海老塚のキャラをつかめないものにしている。

ゆうや朝華、真夜の会話は、会話劇として成立する範疇。
海老塚は、会話が成立せず、物語を乱す。
この「日常」と「シュール」の塩梅がとても気持ちいい。
2つの中間地点にいるのが、鴨江真昼だ。

鴨江真昼の異常な存在感

ひとりだけものすごく背が小さく、表情があまり変わらない真昼。
変化球なキャラだ。一概になんらかの「配役」ではくくれない。

多人数でいる時、彼女は俯瞰した意見を述べる。
みなの意見を聞いた時に、ぼそっと真昼が総括する。
誰かがボケて会話が一段落したあと、二段目のオチとして口を挟む。

ポロっと喋る言葉が、時に毒だったり、時にフォローだったり

一番常軌を逸した行動を取るのも彼女だ。
ソシャゲを始めた真昼。ガチャで35万使い果たしてしまう。
近所の子どもたちを手なづけて、頂点に君臨したこともある。

これは真昼が、他のキャラとの兼ね合いで、流動的に動けるからできる展開。
ゆうを始めとした常識人が固まると、彼女はある程度狂った行動に出ても、成立する。
まわりのキャラが狂気的な場合、場をうまくおさめるような、引いた距離に移動する。なお海老塚には、あまり近づかない。

「ボケ・ツッコミ」「日常・シュール」のスイッチング。
真昼の立ち回りは、作品のカオスな状況を整理する鍵になっている。

一番無軌道に見える真昼だが、彼女が自由に動き回ることで、絶妙なバランスが成り立つ。たまに見せるツッコミも冴えわたってる

「バターチーズガール」は、増えていく人物との兼ね合いで、人間関係がコロコロと相対的に変わっていく。
キャラはどんどん、イキイキとしていく。



試し読みはコチラ!

©安倍川/KADOKAWA