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トミムラコタ『ぼくたちLGBT』苦悩じゃなく日常を描く。LGBT当事者の99.9%経験談エッセイ

yomina-hare編集部

LGBT当事者による日常系エッセイコミック

集英社の新しいWEBコミックサイト「ふんわりジャンプ」であらたに連載がスタートしたのが、トミムラコタ氏『ぼくたちLGBT』である。

自身のカミングアウト以降、周囲の人々からLGBTであることを打ち明けられる機会が増えたというトミムラ氏。LGBTは特別な存在ではないと感じるようになる

「LGBT」とは、L=レズビアン(女性を好きになる女性)、G=ゲイ(男性を好きになる男性)、B=バイセクシャル(男女どちらも好きになる男性・女性)、T=トランスジェンダー(社会的性別にとらわれない性別のあり方を持つ人)の頭文字を取った略号であり、性的少数者の総称として用いられている。

近年はメディアでも使用されている言葉なので、見たり聞いたりしたことも多いのではないだろうか?
昨年、渋谷区や世田谷区では同性カップルのパートナーシップ証明書が発行されるようになり、今年に入ってからは三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市がこれに続いた。
アメリカでは連邦最高裁の判決により全州で同性婚を認めるようになり、性的少数者を社会的にきちんと受容するしくみが徐々に整備されつつあるのが現状だ。

『ぼくたちLGBT』の作者・トミムラコタ氏は、バイセクシャルをカミングアウトしている。本作はそんな作者の「99.9%経験談」に基づく4コマ漫画。
LGBT当事者による日常系エッセイコミックなのである。

出会い系サイトの必要性

さて、LGBT当事者にふりかかる諸問題を描いた漫画作品は、これまでも枚挙にいとまがない。
代表的なところでは、第20回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で優秀賞を受賞した田亀源五郎氏の『弟の夫』、アニメ化もされた志村貴子氏の『放浪息子』などが挙げられるだろう。

LGBT当事者にはどのような苦悩があるのか。当事者たちはどのような社会的問題を抱えながら生きているのか。
エンターテインメント作品として楽しめるだけでなく、そうした啓発的なテーマを提起する傑作といえる。

この『ぼくたちLGBT』には、そうした啓発的な意味合いは薄い。しかし、そこにこそ本作ならではのテーマ性がはらむ。
まだ「第0話」と「第1話」が公開されている段階なので今後の展開次第ではどうなるかはわからないが、第1話の「17歳、春」で「女の子と恋仲になりたい」と思った主人公は、そこでLGBT当事者ならではの悩みに直面するのではなく、「ネットしかない!!」とレズビアン専用の出会い系サイトを利用する。

恋愛にアグレッシブなトミムラ氏の姿勢は、男が好き、女が好きという読者の性指向にかかわらず頼もしく見える

この「ネットしかない!!」のセリフが、前の世代の当事者からすれば隔世の感があるだろう。それは「ネットがある!」であり、「ネットなら出会える!」に通じる。かつてはLGBT当事者同士が出会うことは困難であり、それこそひとりで悩みを抱えていた方々は多かったはずだ。

苦悩は、もちろん描かれていないだけで存在するのだろうけど、それと同時に選択肢が存在する社会。
まだまだヘテロ(=異性愛者)と同じように性指向や恋愛について語るには風通しのいい社会とは言い難いだろうけれど、自分から積極的にアクションを起こしていけるツールが存在する。
ほがらかに「出会い系サイトに入り浸」っていく姿は、社会的には〝半歩前進〟の様相といえるのではないだろうか。

誰にとっても「普通」な日々

ただ、はじめ主人公はレズビアン専用の出会い系サイトで、なかなか相手にしてもらえない。「大人になったらいらっしゃい」にあるとおり、「20歳以上の人はたいてい高校生NG」であるからだ。
このあたりからは、実体験に基づくエッセイコミックならではのリアリティが感じられる。

LGBT当事者が未成年を拒否する理由としては、おそらく何か問題が起きたときに、その両者だけにおさまらず、LGBT当事者全体やサイト利用者全体に不利益が生じると判断してのことだろう。「年上に相手にされない子ども」のように見える一編の4コマにも、当事者ならではの配慮が透けて見える。

作中では描かれているのは2000年代中盤。社会が今よりもLGBTに対する理解のなかったころ

以降は、出会い系サイトでの成功や失敗が描かれていく。
〝盛った〟自撮りを掲載するとリアクションが良かったり、おかしなメッセージが届いたりするあたりは、性指向に関わらず、全ての人に共通した一般的な「あるある」のようだ。

LGBTもヘテロと同じような日常を送っている。ヘテロの「普通」も、LGBTの「普通」も、同じ「普通」なのだ。そんな当たり前のことにあらためて気づかされる。

そして出会いを求めていく彼女のポジティブさに、アタックする勇気がなければ恋なんてつかめないと勇気づけられるはず。
自分は少し臆病だ、恋に奥手だと思っている方。もしかしたら本作を読むと、アナタの背中を押してくれるかも?



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©トミムラコタ/集英社ふんわりジャンプ