まとめ
先週のオススメ初単行本(2018.4.01〜4.07)
yomina-hare編集部
先週発売されたオススメ初単行本
先週、初めての単行本を発売し、漫画業界という大海原で更なる一歩を踏みだした新人漫画家がいる。
そんな記念すべき初単行本中から、「yomina-hare」的に大注目の作品を2つご紹介!
『いそあそび』佐藤宏海
訳ありお嬢のサバイバル生活!
コンビニすらない海辺の町に現れた、訳ありの元お嬢様・セト。目の前に海! 振り返れば山! そんな町で自給自足を目指すセトだが、サバイバル知識は皆無。餓死寸前の彼女を救った六郎は、人よりちょっと豊富な磯の知識で、セトのサバイバル生活をサポートすることに。
初めて目にする生き物に目を輝かしたり、苦労して手に入れた食材を口にして顔をほころばせるセトの姿に思わずほっこり。六郎の磯の知識も読んで楽しい。セトに対して六郎が抱いている、恋というより憧れに近い淡い感情や、六郎のことがちょっと気になる幼なじみの珠子の登場で、恋愛方面からも目が離せない。
変わり者だけれど、素直で気高いセトに、下心なく彼女のことを心配している六郎。珠子にいたっては、恋敵のはずのセトとだって、あっという間に仲良くなってしまう。登場人物全員が、とにかく善良な人々。思わず作中に飛び込んで、彼らといっしょに日が沈むまで遊びまわりたくなってしまう。
『彼女のやりかた』田所コウ
彼女の秘密のストレス解消法
このストレスフルな世の中、誰もが自分なりのストレス解消法を持っている。なかにはノーパンで帰宅するなど、人には言えないような方法でスッキリしている人も。そんな秘密のストレス解消法を持つ女性たちの姿を描いたオムニバスが『彼女のやりかた』だ。
「秘密のストレス解消」という言葉から想像するようないやらしさはない。日常のなかで感じるちょっとした違和感や苛立ち、そうしたものを積み重ねたうえで、彼女たちが気持ちがフッと軽くなるなる瞬間を丁寧に描く。著者・田所コウ氏のシンプルな絵柄もあって、爽快感だけが心に残る。
疲れていると、強いメッセージや励ましを受け止めるだけの余裕がないこともある。そんなときは、1エピソード10ページの本作を、眠る前にパラパラめくり、クスッと笑って瞳を閉じる。ちょっとだけ今日のいやなことを忘れて、少しだけ明るい気持ちで明日を迎えられそうだ。