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まとめ

先週のオススメ初単行本(2018.3.4〜3.10)

yomina-hare編集部

先週発売されたオススメ初単行本3選

先週、初めての単行本を発売し、漫画業界という大海原で更なる一歩を踏みだした新人漫画家がいる。
そんな記念すべき初単行本中から、「yomina-hare」的に大注目の作品を3つご紹介!

『テンジュの国』泉一聞

遠い昔のチベットで、出会ったふたりの穏やかな日々

18世紀のチベット。医者見習いのカン・シバと彼の婚約者のモシ・ラティ。ふたりの暮らしを丁寧に描くのは泉一聞(いずみ・いちもん)氏『テンジュの国』は「別冊少年マガジン」で好評連載中だ。

料理や婚姻といった当時のチベットの暮らしから、薬草や医療などについても、綿密な取材のうえに描かれているようで、その一部は巻末にまとめられていている。
そうして培われた知識は物語に説得力を与えるだけでなく、刺繍や織物の意匠、町並み、自然など細かい書き込みにもあらわれており、ページをめくるたびに思わずため息がこぼれそな画面が広がる。

遠い昔、遥か彼方の異国の話だけれど、善良な人々が穏やかな暮らしを送る様子は、スッと胸に染み込んでいくる。
現代と異なり恋人という段階をへず、婚約者となったカン・シバとラティ。お互いを少しずつ知っていくことで惹かれ合うふたりを見ていると、とても穏やかな気持ちになれる。



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『イジらないで、長瀞さん』ナナシ

「女の子には勝てない」の究極進化

美術部2年の“センパイ”と、彼をイジりつくす1年生の長瀞(ながとろ)さん意地悪そうな長瀞さんの笑顔が、だんだんかわいく見えてくる。
『イジらないで、長瀞さん』は、講談社のマンガアプリ「マガジンポケット」で連載中。作者はナナシ氏

最近、目にすることの増えた真面目な男子といらずら好きな女の子の組み合わせのなかでも、ぶっちぎりに女の子がひねくれていて最高にかわいい。あとちょっとエッチなところも最高です。

長瀞さんの“イジり”は、場合によってはかなりキツくて、読んでてダメージを負うことも。
けどセンパイ自身が変わりたいと願っている部分、例えば人の目を見て話せないとか、はっきりとものが言えないとか、そうした部分をイジっても、センパイが大切にしているものはイジらない。
そんなところから長瀞さんの気持ちをうかがい知ることができる。

ただ意地悪な女の子だった長瀞さんが、単行本後半では、自分から仕掛けたスキンシップで照れたり、イジり過ぎたんじゃないかと焦ったりする姿を見せてくれる。
今から2巻が待ち遠しい。



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『殺彼―サツカレ―』大介+旭

人殺しの世界へようこそ

DV男に強姦殺人魔、食人鬼に屍体愛好家……登場人物全員、ろくなやつがいねぇ!
漫画家ユニット・大介+旭「くらげバンチ」に連載している『殺彼―サツカレ―』は、もともと同人誌で人気を博した『サツジンカレシ』シリーズのセルフリメイク。

日常的にDVを繰り返していた桐生優太(きりゅう・ゆうた)は、ついに恋人を死に追いやってしまう。殺人を隠蔽してくれた謎の青年・松本記知(まつもと・ぢるち)に案内された先は、異常者が助け合いながら殺人を繰り返すコミュニティだった。

物語はふたつのパートからなる。
ひとつは桐生が殺人者たちのコミュニティのなかで、どんどん堕ちていく様子を描く。桐生は一級品のクソ野郎で、まったく共感できるポイントがない。どんどん苦しんでほしい。
もうひとつが本作最大の特徴。異常者たちの手にかかる被害者視点の最後の記憶。まるで自分が殺されて、人としての尊厳をうばわれるような後味の悪さ。
虐げられることの苦痛と、虐げることの甘さ。そのふたつの繰り返しは、読み手の価値観を揺さぶる。
誰のなかにも暴力は眠っている。



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