まとめ
先週の注目初単行本(2017.12.10〜12.16)
yomina-hare編集部
先週発売された初単行本5選
先週、初めての単行本を発売し、漫画業界という大海原で更なる一歩を踏みだした新人漫画家がいる。
そんな記念すべき初単行本中から、「yomina-hare」的に大注目の作品を5つご紹介!
『にじいろフォトグラフ』倉崎もろこ
芳文社 (2017-12-12)
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金髪碧眼幼女が、内気な女子高生を変える
「まんがタイムきららフォワード」で連載されている倉崎もろこ氏の『にじいろフォトグラフ』、その単行本第1巻が、12月12日に発売された。
前髪で目を隠すのは、人と目が合わなくてすむから。
山吹葵(やまぶき・あおい)は誰かに顔を見られるのを嫌がっていた。青い目がコンプレックスだったからだ。
コミュニケーションが苦手な彼女が出会ったのは、泣きじゃくる金髪の幼女・サラ。
葵はサラを喜ばせたいと思い、ひまわり畑につれていく。
サラも葵も、ふたりとも目が青い。
純粋なサラの笑顔を見て、後ろ向きな自分を変えたいと彼女は願い始める。
『どうにかなりそう』岡藤真依
読んでいるこっちも、どうにかなりそう。
イラストレーターとして映画のポスターや小説の装画などを手がけてきた岡藤真依(おかふじ・まい)氏。岡藤氏の漫画家としての初連載作品『どうにかなりそう』が単行本として12月13日に発売された。
Webメディア「マトグロッソ」連載時のまま全ページフルカラーで収録された豪華な一冊だ。
描かれているのは、思春期の恋と性。それを複数人の視点から切り取ったオムニバス作品だ。
誰かを大切に想うことと、誰かの体を欲すること、そのふたつの感情は、相反するようで、ほとんど同じ場所にある。
そんな感情に振り回される女の子たちの、不器用だけれどまっすぐで、しっかりと熱を帯びた感情が伝わってきて、切なさで胸がいっぱいになる。
『さめない街の喫茶店』はしゃ
不思議な世界のグルメファンタジー
イラストレーター・漫画家として活動する傍ら、同人誌で自身の旅行記や留学体験漫画を発表し続けているはしゃ氏。12月13日には、初の単行本『さめない街の喫茶店』が発売された。
夢の中の世界に迷い込んでしまい、そこで働くことになった女の子。住み込みで働くことになったカフェに出入りする人々と彼女が、料理を通じて交流を深めていく姿を描いた本作は、Webメディア「マトグロッソ」で連載された。
単行本には、公開された10話に、描きおろし10話分を加えた全20話が収録されている。
『兜の花』由里華三夫
徳間書店(リュウ・コミックス) (2018-01-01)
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ひとつ屋根の下、愛憎入り乱れる物語
2015年、「コミックリュウ」が主催する新人コンペ企画「登龍門5」に『わたしののぞみ』を発表し、デビューした由里華三夫(ゆりか・みつお)氏。現在、同誌にて連載中の初連載『兜の花』の単行本第1巻が、12月13日に発売された。
古い一軒家でルームシェアする5人の男女の物語。愛憎と呼ぶにふさわしく、それぞれがそれぞれに抱く感情は、単純な「好き」や「嫌い」ではない。そんな複雑な感情が、ケレン味たっぷりのキャラクターにのせて描かれる。
いわゆる「いい人」が誰一人として登場せず、どんどんと深く暗い方へと話が進んでいってしまう。5人の行き着く先を、追いかけてほしい。
『やわらかな鋭角』多田基生
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
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神様は、やさしくなんてない
「COMIC it」vol.18に掲載された読み切り『新しくない斜面』でデビューを果たした多田基生(ただ・きせい)氏。
その読み切りを引き継ぐ形でスタートした初連載『やわらかな鋭角』の単行本が12月15日に発売された。
12年前に起きた大火災。その生き残りの少女は、ある宗教団体で崇拝の対象となっていた。彼女を追う週刊誌記者の渡辺の運命が少しずつ狂いはじめる。はたして教団が崇める“神様”とは。
作品全体に漂う、重い空気。得体の知れないものに触れているような不快感。“神様”が望みを叶えてくれても、人は幸せになれない。罪深いのは神か、人か。
誰も幸せになれなそうな、陰鬱とした結末が待っていそうなのに、ついページをめくってしまう。はやくも2巻が待ち遠しい。