まとめ
今週の初単行本(2017.09.17〜09.23)
yomina-hare編集部
今週発売された初単行本5選
今週、初めての単行本を発売し、漫画業界という大海原で更なる一歩を踏みだした新人漫画家がいる。
そんな記念すべき初単行本中から、yomina-hare的に大注目の作品を5つご紹介!
なんでもないはずだった週末に、新しい作品、新しい漫画家との出会いをプラスしよう。
9月19日(火)
「取っておいてください」と言われた茹で汁を捨ててしまう……そんな「たしかに言われたけれども!」という不条理を叫ぶ女の子・きいちゃん。
リュウイチ氏がTwitterで発表していたイラストが「ふんわりジャンプ」で4コマ漫画に、さらにはこのたび単行本化。
最後のコマにオチにくる、という4コマ漫画のセオリー完全無視。4コマボケて、4コマツッコミが入るようなハイスピードな言葉のやり取りがクセになる。
「カフェ・夕飯」を、たったひとりで切り盛りする少女、田俣澄(たまた・すみ)。
長身巨乳のウェイトレス姿。目にも留まらぬ速さで調理。落ちそうな皿は華麗に全てキャッチ。店内で暴力行為を働く人は、ちょちょいとひねってお帰りいただきます。
そんな彼女は「弾かれ者」をけっして見捨てない、彼らのジャンヌ・ダルクだ。
9月20日(水)
呪われた美少女・ギドと棺桶を背負った魔術師・アシャフ。ふたりが、ギドの呪いをとくため悪しき魔女を追うファンタジーサスペンス。
利己的で、粗暴だが、ふたりには超常の力を駆使する魔女を滅ぼすほどの力がある。そんな「毒を持って毒を制す」ような姿に、思わず憧れを抱いてしまう。
ギドとアシャフが、信頼ではなく利害で結ばれているところもポイント。ギドの呪いがとけるとき、ふたりは命を奪い合う関係になってしまうのか? 物語の行く末が気になる。
9月22日(金)
法が届かない山間の集落で、何百年にもわたって村民たちを支配している因襲。もしもそれが人殺しを正当化するものだったなら?
昭和最後の夏、ネットも携帯もない時代の外界から隔絶された集落という舞台と、表情の読めないキャラクターたちも少しずつ読むものの心を蝕んでいく様子が、本当に新人なのかと疑いたくなるほど、じっくりねっとりと丁寧に描かれていく。
9月23日(土)
キャラも背景もしっかり描きこまれているのに、なぜかひとりだけ超シンプルデフォルメ顔の堂田萌恵(どうでん・もええ)。表情がピクリとも変わらない。彼女は何も気にしないがゆえに、普通じゃない人たちから愛されている。
「気にしない」というのは極めてポジティブな、許容の精神だ。自分の特殊性に悩んでいた子たちが、萌恵が気にしなかっ
たことで自分を認め始める。
ドタバタコメディの皮をかぶった、救済の物語になっている。