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閻魔娘の太ももがまぶしい、ドタバタ鬼ノ怪退治譚。 『たくあんとバツの日常閻魔帳』井谷賢太郎

たまごまご

「週刊少年ジャンプ」で連載中の怪奇コメディ『たくあんとバツの日常閻魔帳』第1巻が明日、9月2日に発売される。

地獄の裁きを現世に下す少女・バツ

突然現れた中華系の少女・バツ。やたら礼儀正しくて、目がキリっとしていて、太ももがムチムチ
彼女は自分を閻魔大王の娘だという。目の前で怪異事件が起きたとき、彼女は巨大なハンマー・閻魔槌(えんまづち)を持ちだして、地獄の裁き・判血を執行する。

オムニバス形式で繰りひろげられるドタバタ鬼ノ怪(もののけ)退治譚。
第1話の蛙男といい、第6話の人喰いやしきといい、出てくる鬼ノ怪の造型はかなり不気味。
グロ+美少女、じつによいごちそうです。

きっちりピシッ。つねに挨拶と姿勢に気を使う少女バツ。それより太ももすごいですね

彼女が獄卒、つまり手下として選んだ少年・九十九多九郎(つくも・たくろう)、通称「たくあん」。
たいした取り柄もないぼんやりした少年だが、ある理由で地獄の鬼に取り憑かれており、ひとたび鬼が表出すると猛烈な力を振るうようになる。

閻魔娘・バツだけでも、相当に強い。閻魔槌を使うことで、様々な地獄を顕現。串刺しにする針地獄、氷漬けにする極寒地獄、相手を焼きつくす焦熱地獄。バリエーション豊かなうえに、どれも便利だ。

だが彼女ひとりでは解決しきれない部分もある。そこを覚醒したたくあんが補助に入り、連携プレイで解決していく。
バツの裁きは、一切容赦がない。罪を犯した人間を、それ相応の残忍な方法で地獄へと落としていく。
更生や悔い改めなんてさせない。救いを与えずザックリ成敗する判血は、なかなかに爽快で、物語に疾走感を与えている。

悪を裁くんじゃない、日常を守りたいんだ

一方たくあんは「悪を倒す」のを目的に行動しているわけではない。
彼は誰かの日常を守りたいから戦っている、というのがこの作品のミソだ。

タイトルでありアダ名でもある「たくあん」は、「日常」の象徴だ。「ステーキ」のような「たまに」を彼は重要だと考えない。
日常は絶対ではなく、簡単に失われるもの。彼自身は失ってしまったため、ほかの人にそうなって欲しくないと強く感じている。
彼の行動理念は、物語をただの妖魔退治ものでは終わらせないパワーがある。

コミカルな人物描写に対して、たくあんが抱えている苦しみはあまりにも大きい。「日常」への彼のこだわりは注目してほしい

現段階では怪奇アクション・ちょっとエッチ・コメディとして展開している。
ふんどし牛娘など、アクの強いキャラクターが次々と登場。ドタバタギャグ成分は回を追うごとに増し増し。
しかし、その笑える日々が彼らの日常になればなるほど、壊れる可能性は大きくなる。
不安な空気感は、バツのムチムチな太ももで相殺。罪、悪意、秩序、日常などの難しいテーマを、軽快に描き上げる意欲作だ。



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©井谷賢太郎/集英社