明日発売の新刊レビュー
犯されるチクワ、純潔を奪われるドーナツの姿を見よ!『妄想食品館』ドングリ
籠生堅太
狂っちまったのは、俺か、世界か……
価値観を揺さぶる問題作が、明日10月14日にぶんか社から刊行される。
ドングリ氏による『妄想食品館』だ。
同人誌やWEBで発表されていた作品なので、その存在を知っている読者もいるかもしれない。
作中ほとんどセックスシーンなのだが、成年マークはどこにもついていない。
……うん、そうなんだ。まぐわっているのは、キュウリにチクワ、ドーナツ、そしてたい焼きなど食品ばかり。
食べもの×食べもの。頭がどうにかなりそうだ(褒め言葉)。
見たことあるけど、見たことない
食べものと食べものがセックスします! 以上!
それだけで、この作品がいかに頭がおかしくて、最高かを説明するのに十分なのだけれど、もうちょっとだけ語らせてもらいたい。
エロいことをしているのが食べものなだけで、実はものすごーくスタンダードな展開の連続なのだ。
逞しい男性がみせる優しさ、そのギャップにキュンとしたり、人の情事を覗き見してしまって興奮したり。
これまで何百回も見てきたシチュエーションが、食べもの同士で再現される。
知ってるはずなのに、初めて見る映像。そいつに脳がパニックをおこす。
「ドーナツ? 穴があるんだから、犯しますよね、そりゃ」みたいな考えを自然に受けいれつつある自分がいることに驚く。
だんだんと『妄想食品館』が「今まで見てきた世界の裏側」を知るための重要アイテムみたいなもののような気すらしてくる。
こんなものを世に解き放つとは、ぶんか社もどうかしている(褒め言葉)。
個性豊かな食品たち
自然と読み進めることができるのは、異様に人間くさい食品たちのおかげ。
食品から連想されるイメージが、そのまま見事にキャラクターに反映されている。
特にお気に入りは「ドーナツ姦通式」に登場するドーナツたち。
ヘルシー志向は善良市民で、高カロリー系はワルという対立構造に、わかるわかると頷いてしまう。
抹茶フレーバーが京都弁の女というのも納得だ。そんな彼女の恋人が、低カロリー代表の豆腐ドーナツというのも、ナイスチョイス!
清いお付き合いをしていた彼女らだが、ドーナツに生まれたのが運のツキ。
穴が空いてりゃ犯される……それが『妄想食品館』のルールなのだ。そこには男も女も関係ない。
2人まとめて高カロリー代表のワル、チェロスに貫かれることとなる。……無残!
他にも個性豊かな数多くの食品たちが、あられもない姿を探している。
描き下ろしも多数収録とのことなので、同人誌、WEBで本作を知っている読者も、単行本をチェックしてみてほしい。
©ドングリ/ぶんか社