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新人賞レビュー

毎号、必ず新人掲載! 雑誌内増刊「フレッシュゼノン」ってなんだ?

籠生堅太

雑誌を買う目的ってなんだろう

雑誌に載っている作品、すべてが大好きということはなかなかない。読み飛ばしてしまう作品だってあるし、好きな作品だけを読みたければ、単行本を読めばいい。

それでも私が雑誌を買うのは、「もしかしたら、自分の知らないすごい作品に出会えるかも」という期待からだ。いつもの雑誌に載っている、見慣れぬ作品。それを見つけるたびに、目の前に見たことのない世界への扉が現れたような気持ちになる。この作品は、私をどんなところに連れて行ってくれるのだろう。

そんな雑誌を買う喜びを十二分に味わえる月刊コミック誌がある。「月刊コミックゼノン」だ。雑誌によっては、読み切りがまったく掲載されない号も存在するが、「ゼノン」には毎月必ず新人の読み切りが掲載される“雑誌内増刊”「フレッシュゼノン」というページが存在する。

「コミックゼノン」を小口側(開く側)から撮影した写真。最終ページ付近だけ、紙の色が異なる。ここが雑誌内増刊「フレッシュゼノン」だ

毎号何作品かの読み切りが必ず掲載されるする「フレッシュゼノン」、そこからは『アルテ』の大久保圭氏や『のぼさんとカノジョ?』のモリコロス氏など、現在「コミックゼノン」で活躍する多くの漫画家が発掘されているのだ。

3つのユニークな新人賞

毎月「コミックゼノン」が新人の読み切りを掲載し続けることができるのは、なぜなのか。

「ゼノン」には3つの漫画新人賞がある。

年2回開催される「ゼノン」主催の新人賞の顔でもある「ゼノン漫画大賞」

漫画は国境を越えるという理念のもと、セリフは一切なし! 絵とコマとい演出の力が試される「マンガオーディション」

そして自分自身の武器はコレ! というものを最大限にアピールする「一芸突破マンガオーディション」という特色ある新人賞が並ぶ。



コミックゼノンの漫画賞

半年に一度、季節に1回、月例など開催周期別に複数の新人賞を設ける雑誌も多いが、「ゼノン」のように新人賞の特性に変化をつけた雑誌というのは珍しい。

そんな3つのユニークな新人賞があることが、「フレッシュゼノン」という存在を支えているのだ。

猫と私という家族の物語

現在発売中の「コミックゼノン」10月号にも当然「フレッシュゼノン」がついている。

『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』の荒井ママレ氏の新作読み切りのほか、新人賞受賞作品が2作掲載されているが、そのなかから第12回コミックゼノン漫画大賞準入選の三枝えま氏の『笹川さん家の愛猫シロウくん』を紹介したい。

MP3プレイヤーを使うし、バランスボールで背筋ものばす。とにかく人間くさい猫又のシロウさん

子どものころからずっといっしょだった愛猫が、猫又に! おしゃべりもできるようになった愛猫とおひとり様女子の交流を描いたのが、本作。

猫又のシロウがとにかく可愛い! 30年という長い年月を経て猫又とかしたシロウだけれど、猫は猫。気まぐれさや適当さが全体からほとばしっている。見た目に至っては、ほとばしりすぎて「猫……なのか……?」という軟体動物っぷりだが、大きすぎたり、長すぎたりとへんてこな猫を見かけては、ブサカワイイ……となるような猫好きには、そこもまた魅力だろう。

ただ猫がかわいい! だけではない。この作品は、家族の物語でもあるのだ。
長い時間をいっしょに過ごしてきたけれど、言葉を交わすことはできなかった飼い主と猫。これまでの時間を取り戻すように、笹川さんとシロウはストレートに感情をぶつけあっている。

「シロウ…ごめんね…本当は一番大好きだからね」

そんなひとりと一匹のように、自分も大事な人の前で素直になれればいいのに……と少しだけ胸がチクリと痛む。

©三枝えま/NSP 2016