作家インタビュー
『ゆとりやくざ』早坂啓吾インタビュー ゆとりへの憧れから生まれた、やくざVSゆとりの異色ギャグ
籠生堅太
ゆとりが、やくざの事務所に、就職したら
ゆとりの新卒が入社(?)したのは、まさかの暴力団という、一度読んだら忘れることのできない設定のショートギャグ『ゆとりやくざ』。
「yomina-hare」では、単行本第1巻の発売に合わせて、著者の早坂啓吾(はやさか・けいご)氏と担当編集者の金成圭(キム・ソンギュ)氏にインタビューを刊行。なぜゆとりを主人公にしようと思ったのか。そして受賞から12年をへて、初の単行本刊行となった遅れてきたルーキー・早坂啓吾とは何者なのか。
ゆとりが活躍する作品を作りたかった
まず『ゆとりやくざ』という作品のなりたちをお聞かせいただければと思います。
早坂先生ご自身は、ゆとり教育世代ではないんですよね。
ゆとり教育世代よりも上の早坂先生の目には、彼らのどういったところが「むしろ正しい」というふうに映ったんですか。
休みたいときは休め、と。
お話を聞いていると、ゆとりに対する「憧れ」みたいなものを感じます。
体育会系の人たちって、ガチガチの上下関係があったりすると思うのですが。
今はお仕事をしながら漫画を描かれているということですが、職場にはそういう人、それこそ武堂(ぶどう)さんみたいな人は。
作中の武堂さんの発言には、部活の思い出や会社での理不尽なことというのは……。
しかしなぜ舞台としてやくざの事務所を。
やくざ相手にも一歩も引かないことで、市後のキャラクターも際立ちますしね。
ちょっと悲壮感もありますよね。年金を気にしたり。
そんなゆとりで無敵な主人公・市後ですが、たまに武堂さんたちを助けてくれることも。
連載開始当初から比較すると、だいぶ市後と武堂さんは打ち解けている印象を受けました。
「グランドジャンプ」の読者は、年齢的にも読者は武堂さんに感情移入していそうですよね。
写真撮影:yomina-hare編集部
©早坂啓吾/集英社
今回のゲスト
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早坂啓吾
『ゆとりやくざ』著者
1981年生まれ、長崎県出身。特技はフォークリフトの運転。
2006年に「週刊少年ジャンプ」主催の漫画新人賞を受賞。
現在は「グランドジャンプ」にて『ゆとりやくざ』を連載中。 -
金成圭(キム・ソンギュ)
集英社 キャラクタービジネス室
2008年集英社入社。「週刊少年ジャンプ」編集部配属後、『HUNTER×HUNTER』『トリコ』などの作品を担当。2016年「グランドジャンプ」へ移動し、『ゆとりやくざ』を担当する。
2018年6月よりキャラクタービジネス室勤務。