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まとめ

先週の注目初単行本(2017.11.16〜12.2)

yomina-hare編集部

先週発売された初単行本3選

先週、初めての単行本を発売し、漫画業界という大海原で更なる一歩を踏みだした新人漫画家がいる。
そんな記念すべき初単行本中から、「yomina-hare」的に大注目の作品を3つご紹介!

『ド直球彼氏×彼女』ふじた渚佐

恥ずかしさに読者が死ぬ。ド直球ふたりの言葉のドッジボール

ド直球なふたりのやりとりは、言葉のキャッチボールというよりも、言葉のドッジボール。普通だったら言えないようなことでも全力で相手にぶつける。
本人たちが恥ずかしがらないから、見ているこっちが恥ずかしがるしかない。

以前、「yomina-hare」でもレビューを掲載した『先生×生徒アンソロジー』にも参加していたふじた渚佐氏の初単行本『ド直球彼氏×彼女』が11月27日に発売された。

もともと同作は、なぎさ氏がTwitter上で発表していた短編漫画だ。
言葉をオブラートに包むことを知らない高校生カップルの、見ているこちらが恥ずかしくなるやりとりに中毒者が続出。発表の場を「Comic REX」へと移し、今回の単行本発売となった。

言葉とときに人を傷つける。ストレートな物言いしかできないのに、それでもふたりのまわりはいつも賑やかだ。そんな「友達になりたい!」と思わずにはいられない、ふたりの人柄のよさが魅力的だ。
事実、ド直球彼氏こと本田進一(ほんだ・しんいち)は、中学時代からモテモテだ。

Twitter版では、すでに彼氏彼女だったふたりだが、連載版は出会いからスタートする。
つまり「どうやって付き合うに至ったのか」という、一番のニヤニヤポイントががっつりと描かれているので、古くからのファンこそおさえるべき一冊になっている。

『宝灯堂機譚』佐々木尚

心を持ったモノたちを売ったり捨てたりできますか

「サイコミ」で連載中の佐々木尚(ささき・なお)氏のデビュー作『宝灯堂機譚』の単行本第1巻が11月30日に発売された。

服装や物品は明治・大正風。しかし科学文明は大きく発展し、機械人形(カラクリ)がそこらじゅうにいる、一風変わった世界が舞台。
モノの声を聞くことができる識見宝(しきみ・たから)は、宝灯堂(ほおずきどう)の店主の17歳。男性型カラクリのホオズキと一緒に修理業を営む女の子。

モノの心を救いたい、という信念で駆け回る宝の活躍がとても小気味いい作品。
事件に首を突っ込む彼女をホオズキがサポート。推理とアクションのバランスのいいバディものだ。




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『ちさと巡査、現場に急行せよ!!』橘芽生子

元女性警察官が描く、異色のポリスエッセイ

警察を題材にした作品は数多くあれど、やはり男性的なイメージが強い。
そんななか、女警さん(今は”婦警”と言わないそう!)が主人公という時点で新鮮だし、著者は元警察官というのも驚きに拍車をかける。

フィクションのなかではヒーローだけど、現実では嫌われ者になることも多い警察官。
彼らにスポットライトがあたるのは、やはり何か事件が起きてしまったとき。だからこそ私たちは、彼らの日常をあまり知らない。
そんな「おまわりさんの日常」が、新人女性警察官の目線から描かれている。

初めて拳銃を打った感想や、警察内部の独特な習慣など、いわゆる「お仕事エッセイ」的な部分は押さえつつ、長時間労働、寝不足、帽子かぶりっぱなしの三重苦から頭頂部の寂しい人が多いといった細かな観察眼が楽しい。

基本的には明るいテイストだけれど、だからこそ「この仕事は他人の不幸がうず巻いている」というセリフが心に残る。
やりきれない思いを抱えつつ、次の現場へと急行しているのかと思うと、胸が締め付けられる。
「警察官」という、ある意味権力の象徴が、じつは私たち同じ人間であることに気づかせてくれる一冊だ。



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