明日発売の新刊レビュー
『BACK TO THE 母さん』降本孟 マザコン息子が時をかけ、アイドル母さんをプロデュース!?
小松良介
時をかけるマザコン
家族の若いころの写真を見たことがあるだろうか? たいていは当の本人に面影が残っておらず「え、誰?」と戸惑ってしまうだろう。我が家がそうだった。
降本孟(ふるもと・たける)氏が「スピリッツ」で連載中の漫画『BACK TO THE 母さん』の場合、それはもっと極端になる。本作は変わり果てた母さんを、かつての美しい姿に戻そうと息子が奮闘するマザコンタイムスリップアドベンチャー。
明日11月30日に第1巻が発売される。
小学館 (2017-11-30)
売り上げランキング: 42911
主人公はマザコンの鑑
男は多かれ少なかれ、みなマザコンだ。ビートたけしもシャア・アズナブルも、二次元も三次元も関係ない。
本作の主人公・皆好優(みなよし・ゆう)もそのひとり。母親の尊子(とうこ)は人気絶頂の最中で引退した国民的アイドルだった。
誰よりも美しく清らかで、日本中がうらやむ理想の女性。そんな人物が身近にいたせいか、優はもはやありふれた恋愛すら望めなさそうなほどに屈折した重度のマザコンとなった。
だが、そんな美しい尊子がある日突然、金太郎飴か恵方巻のようなゆるキャラ並の外見に変貌してしまった。それでも優の母への愛情は揺るがない。
しかし授業参観の日が迫り優は苦悩する。「この姿を人に見られたら、母さんは傷つくのでは……」母を想う気持ちが最高潮に達したとき、優は時をかける。
- 1
- 2
©降本孟/小学館・ビッグコミックスピリッツ連載中