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『ルーモア・ヒューモア』さいとう林子 大人のユーモラスな都市伝説

武川佑

これは……何?

ついにメリーさんは東京に到着(東京ばな奈を買う様子も電話で報告してくる)。
逃げだしたサチの目の前に――とうとうメリーさんが現れる。

たぶんプラスチック製のピンクやブルーの引き出し。アニメや絵本のシールをべたべた貼った。兄弟とシールをはがしただので喧嘩になった、「アレ」だ

これは……何? と思わず眉をしかめてしまった。
おそらくサチの実家に昔からある、プラスチック製のタンスだろう。
これがメリーさんなのか、メリーさんを名乗る(?)付喪神的な妖怪なのかは、はっきりとは描かれていない。幼いサチがこのタンスによく話しかけていた、という回想がたった1コマあるのみだ。

>見た目はヘンだけど、寂しさを故郷の言葉で吐露するサチに、田舎を思い返す読者もいるかもしれない

でも、いいのだ。
この作品のメリーさんは、これなのだ。

私達を映す鏡、「都市伝説」という存在

怪談などの民間伝承はバリエーションがさまざまで、特に都市伝説は地域性が高い。同じ伝承であっても、結末や登場人物の見た目や呼び名も異なる。

都市伝説とは、人に語られることでのみ、生きている。
私達を怖がらせる一方で、私達をずっと見守っていた存在なのかもしれない。
タイムカプセルを開けるように、「心」がほろりと零れ落ちる。

最後、同郷の友達・ユキが心配して家まで来てくれたのも、ほっとする展開だった。
ホラーだけどユーモラスで、読後感は懐かしい。

10月更新の第2回は「口裂け女」、第3話は「きさらぎ駅」がテーマとなるそう。
きさらぎ駅など比較的新しい都市伝説が、どのように描かれるのか、楽しみだ。



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©さいとう林子/祥伝社