yomina-hare編集部の日常
漫画家ってどこまでが新人なんだろう?
籠生堅太
どこまでが「新人」?
「yomina-hareは新人漫画家の紹介メディアです」と自己紹介をすると、いろいろな出版社、編集部、漫画家、そして書店の方たちから似た質問を何回もいただきました。
「新人漫画家って、どこまでが新人漫画家ですか?」
デビューからの年数?
一番わかりやすい、というか線引をしやすいのはデビューからの年数でしょうか。たとえば今年で画業50周年を迎えられる大和和紀先生のことを新人だと考える人は誰ひとりいないでしょう。
しかし漫画の世界ではデビューをしてから、連載に辿りつくまでに何年という時間を費やす漫画家も少なくはありません。新人賞を受賞してから、5年経ってようやく初連載。そんなケースが数多く存在します。
発表作品数?
では発表作品数で判断するのはどうでしょうか。そうすればデビューからの年数にかかわらず、新しい才能を見つけだすことができるのではないでしょうか。
しかし発表作品数だけをyomina-hareで紹介するかしないかの判断基準にしてしまうことにも、危うさを感じています。『ONE PIECE』『進撃の巨人』、どちらも初連載作品ですが、ご存知のように超がつくようなヒット作です。
『ONE PIECE』は来年連載20周年。その著者である尾田栄一郎先生は、新人というカテゴリーにはすでに属していないと考えるのが当然でしょう。しかし『進撃の巨人』の諫山先生は、どうでしょう。まだ新人と捉える人もいらっしゃるのではないでしょうか。
売れているか、いないか?
ここまでの流れで、あることを思い出しました。お笑い芸人の方たちです。売れなければ30代でも40代でも、デビューから何年経っていようとも“若手”と呼ばれる彼らのように、漫画家の“新人”というのも、売れているかいないかということなのではないでしょうか。
デビューしてすぐにヒット作を生みだした漫画家から“新人”という、いわば若葉マーク的な言葉をとってしまうことには、あまり抵抗を感じません。
しかしその逆、10年以上活動を続けていても、ヒットに恵まれない。そんな漫画家を、戦い続けてきた漫画家を「売れていないから、まだ新人」という扱いをすることは、かえって失礼なような気がしてなりません。
結局、線引はできない
この記事で述べたこと以外にも、同人誌で発表されていた作品が商業で連載を開始するパターンや、一度デビューした漫画家がペンネームを変え再デビューをはたすケースなど、数値化できないことも多く存在します。
結局、何をもって新人とするか、明確な線引はできない。というのが、現時点でのyomina-hare編集部の考え方です。
長々と語っておいて、なんやねん! とお怒りの方もいらっしゃるとは思いますが、なるべく多くの作品、漫画家を取りあげたいという思いからのことです。ご了承いただければ幸いです。